激務により中堅MSが新人を指導するための時間的余裕を失っている!?

MSの今後

こんにちは、元MSのヒサシです。

つい最近、MS時代の同期(男性)と話す機会がありました。

彼は私と同年代であり、年齢は30代前半です。

社歴から見れば、今や立派な中堅世代。

そのせいなのか、営業所内でもかなり重要な施設(規模が大きい基幹病院など)を複数担当しています。

傍目から見れば順調にMSとしてのキャリアを積んでいるように見える彼ですが、実際には生半可ではない激務を強いられているようです。

その弊害なのか、本人曰く『新人MSを指導するだけの余裕がない』のだとか。

ヒサシ
ヒサシ

おいおい、どんだけ多忙なんだよ…(汗)

令和以降のMSって、本当に忙しい状況が続いているんですよね。

その中でも特にMSを苦しめているのは、以下の2点でしょうか。

要因①:2020年から始まった出荷調整の嵐
要因②:MSの人数減少による1人当たりの負担増大

①・②ともに、MSの力ではどうにもならない問題です。

言ってみれば、個人ではなく、会社(あるいは業界)に原因があることですからね。

その影響が、どうやら新人の指導にまで及んでいるみたいです。

忙殺され、新人の面倒を見ることまで手が回らない中堅MS。

理由はどうであれ、半ば放置されてしまう新人MS。

その状況に関して、見て見ぬ振りをしている管理職や会社。

その辺りの事情について、MS時代の同期から聞いた話に基づいて記事を書いてみました。

中堅MS・新人MSを取り巻いている環境について、少しでも参考になれば幸いです。

※これ以降、同期のMSを“K”と表記しています。
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中堅MSの葛藤

Kとはたまに近況報告をし合う仲なのですが、今回は電話越しにでもKが疲弊しているのが伝わってきました。

詳しい経緯を尋ねたところ、2022年の4月から担当軒数が増えたことが原因なのだとか。

(※Kの営業所で、MSが1人減ったことによる影響らしい。)

言うまでもないことですが、MSの激務度は担当軒数に比例します。

軒数が多ければ、それだけ【急配】【返品】【出荷調整】といった業務も増えるワケですからね。

ただ、どうやらKはそれ以外のことでも悩んでいる様子。

会話を続けているうちに、Kの悩みには新人MSが関わっていることが分かってきました。

以下、Kが漏らしていた内容です。


ウチの営業所に新入社員の新人が来たんだけどさ、上司(所長)から新人の指導について俺たち(現場のMS)に任せっきりなんだよな。
このクソ忙しい状況で、新人の世話なんて出来るわけがない。
大体にして、自分の仕事だけで手一杯の状態なのにさ。
オフィスとかで新人に『これはこうだよ』みたいな話をする時間がさ、最近はマジで無いんだよ。
新人には悪いけど、このままだと半ば放置することになりかねない。
でも、そんなことしたら新人が可哀想だから、そうならないようにMS同士で役割分担して、少しずつ新人を指導しているんだけどさ…
こんなことを言ったらダメなんだろうけど、自分の仕事を放り出してまで、新人のために何かしてやるだけの余裕なんて無いんだよなぁ。
マジでさ、新人の隣に座ってアレコレ教えてやるだけの時間が無い。
しかも、他のMSたちも同じような状況でさ。
どうすれば良いのか、俺にも分からねーんだわ。

ご覧のように、Kの中では2つの気持ちがせめぎ合っているんですよね。

新人の指導はキチンとしてあげたい。

だからといって、自分の仕事を放棄してまで新人のために時間を割くわけにはいかない。

だったら、MSとしての業務を優先して、余った時間で新人の指導するか?

いやいや、その余った時間を捻出できるなら、とっくの昔にそうしている。

新人の指導と、目の前にある業務。

この2つの間で、Kは葛藤しているんですよね。

ヒサシ
ヒサシ

“あちらを立てれば、こちらが立たず”ということか…

担当を持っている現役MSであれば、自分の顧客を最優先として仕事を組み立てるのは当然のことです。

もし仕事に優先順位を付けるのなら顧客対応>>>新人の指導になるのは仕方ありません。

MSとして売上・利益を稼がなければ、そのMSは社内で冷遇されるだけですからね。

新人の指導を後回しにしてMS本来の業務を優先するのは、MS(=会社員)として正しい判断だと言えるでしょう。

さて、こんな書き方をすると、Kは冷徹な人間だと思う読者さんもいるかもしれませんね。

念のため補足しますが、Kはメチャクチャ良いヤツです。

少なくとも、困っている新人(後輩)を見放すようなことはしない人間です。

そんなKですら新人の指導について消極的になるということは、きっと私が思っている以上にMSとして忙しい状況なのでしょう。

今のご時世、MSの人数は全国各地で減り続けています。

その分だけ、残されたMSは1人当たりの担当軒数が増え、MSとしての業務に追われるハメになる。

Kも例外ではなく、その大きな流れに呑まれている。

そして、その流れには個人の力では抗えるはずもない。

Kの話を聞いて、昨今の医薬品卸を取り巻いている環境について、改めて色々と考えされられました。

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犠牲となる新人MS

先ほどお伝えしたKのようなMSは、ぶっちゃけ全国各地にいると思います。

MSの人数減少に伴う業務過多。

営業所によっては配送の人数までも減らされ、その影響で今まで以上にMSが自配へと駆り出される始末。

特に、令和以降に大規模なリストラを行った医薬品卸であれば、なおさらキツい状況かと思われます。

 

メディセオグループのリストラ人数が560人!医薬品卸によるリストラブームの前兆か?

スズケンが4年ぶりにリストラを断行…医薬品卸の厳しい経営環境について改めて考えてみた

 

この一連の流れによって、日常業務において皺寄せを受ける者たち。

自分の意思とは関係なく、業界や会社による理不尽に晒される人たち。

その中には、間違いなく新人MSとして配属される新入社員たちも含まれています。

ハッキリ言って、入社して1年目から指導ナシで放置されるのは絶対にキツいです。

私がMSとして現場に配属された頃を思い返してみても、1年目のときはマジで何も分からなかったです。

そもそも、営業所内で飛び交っている言葉の1つ1つが意味不明でしたからね。(汗)

帳合ちょうあい】って何?

起伝きでん】って何?

施策しさく】って何?

売差ばいさ】って何?

言ってみれば、こんな感じのレベルだったんですよ。

言うなれば『何が分からないのか、それさえも分からない』という感じでしたからね。

こんなとき、何でも教えてくれる先輩MSが近くにいないと絶対にしんどいです。

教育係の先輩MSを頼れないということは、それは即ち自分1人で解決しないとダメということを意味しています。

これの何がヤバいかというと、1人で調べ物をするには効率が悪過ぎるという点です。

もしGoogleで検索して何かを調べるにしても、ぶっちゃけ限界があると思うんですよ。

だって、ネット上では無味乾燥な情報しか出てこないことも多いじゃないですか。

運良くGoogle検索でヒットしたとしても、それが新人MS向けに書かれているような内容とも限らないですし。

そんな情報を1人で万遍なく理解して、自分の知識として定着させられる新人が、果たしてどのくらいいるでしょうか?

ゼロとまでは言いませんが、おそらく圧倒的な少数派ではないかと思うのです。

むしろ、頭の中で物事を理解する前に、心が折れてしまうようなパターンの方が多いのではないでしょうか?

従いまして、新人MSにとって教育係の有無はとても重要です。

どう考えても、MS経験者が近くでかみ砕いて教えてあげた方が良いに決まっていますからね。

ですが、先ほどのKから話を聞く限りでは、新人MSを教育(指導)するには難がありそうです。

理由はどうであれ、教育役として適任な中堅MSが多忙なせいで、新人MSが割を食う。

そういった意味では、新人MSは社内における犠牲者だと言えるのかもしれません。

最後に:新人を育てられない組織の将来は暗い

この記事で紹介したKのように、キャパオーバー気味で困っているMSは多いことと思います。

そこに加えて、新人指導の仕事まで入ってきたとしたら、それこそパンク状態になるのは必至でしょう。

では、中堅MSが罪深いかと言うと、一概にそうとも言い切れません。

これは中堅MSが悪いというよりは、MSたちを取り巻く環境が悪すぎるのです。

こういった環境要因によって、巡り巡って新人MSたちが困ってしまうという流れが生まれつつあるのでしょう。

現場に配属されたばかりなのに、放置気味な扱いをされる新人MS。

彼らの胸中は穏やかではないことでしょう。

大体にして、新人ながらに放置されてしまった時点で、会社に対して嫌気が差してしまう可能性も高いです。

そうなった場合、早々に転職していくことも考えられます。

自分のことを雑に扱う会社よりも、もっと自分を大切にしてくれる会社に移りたいと考えるのは、社会人として自然なことですからね。

私自身もMSとして挫折し、そして転職したことのある人間だからこそ理解できるのですが…

大抵は『もうこの会社に居たくない』という気持ちが、転職活動のモチベーションになっているものです。

どんな業種・職種に転職するかはともかく、こうなった時は若い人ほど行動が早いものです。

友人や知人を頼るなり、転職エージェントを頼るなりして、医薬品卸からの脱出を図ることでしょう。

 

医薬品卸に新卒で入社したMSが辞めていく『4大タイミング』について勤続年数別に語る!

MS時代に活用していた転職サービス5選!各々のメリット・デメリットも一緒に解説します!

 

転職は、決して悪いことではありません。

職業選択の自由が法律によって保障されている以上、会社に見切りを付けて辞めていくこともまた、個人の自由なのです。

ですが、医薬品卸の立場で考えてみると、これは大きな損失なんですよね。

前途有望な若い人材について、みすみす社外に流出させる事態を招いているワケですから。

どんな事情があるにせよ、新人が定着しないような会社の先行きは怪しいものです。

ヒサシ
ヒサシ

若い人ほど、会社の将来性を冷静に見極めていたりするからなぁ…

新人が中堅となり、ベテランとなる。

さらには管理職となり、また新人を育てる。

しかし、新人がすぐに辞めるということは、このサイクルが阻害されていることを意味します。

そのような会社の将来は暗いですし、何なら現存している中堅・ベテランの社員たちが働くモチベーション低下にも繋がりかねません。

たかが新人、されど新人。

10年後や20年後のことを考えるなら、会社として新人を教育するための体制を見直す必要がある。

それも、今すぐにです。

もしそれが実現できないのなら、その会社はいよいよ末期状態という事なのかもしれません。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

コメント

  1. 焼き肉といったらホルモン より:

    こんにちはヒサシさん!新人MSは社内における“犠牲者”だと言えるのかもしれません。と書かれていますがおっしゃる通り同感です。これからは定年退職する方々がMSでの契約社員として継続雇用されていくパターンがふえると思います。そうなると社内の人件費がその分いくらか浮く訳ですからそれを新人教育費用として使ってもらいたいものです目的税の様にです!でもどこかの国と一緒で余裕が無いから無理ですかね(^◇^;) とにかく縁があって机を並べる仲間が増えたのにみるみるうちにしぼんでいって枯れていく姿は見たくないものです(涙)

    • ヒサシ ヒサシ より:

      ホルモンさん

      コメントありがとうございます!
      自分が新人MSだった頃を振り返ってみても、先輩(中堅MS)からの指導が無かったらと思うと正直ゾッとします。

      医薬品卸はもっと新人教育に投資した方が良いですよね。
      資金的な意味だけでなく、時間的な意味でも。

      MSを辞めた身ながらも、新人MSたちが苦しんでいる現状は見ていて気分の良いものではありませんね。
      それだけに、根本的な解決が難しいという業界事情について歯痒く思います。

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