バイタルHDの『貢献利益中心評価』はMSにとって薬となるか?毒となるか?

MSの今後

こんにちは、元MSのヒサシです。

2021年3月期の決算で赤字(営業損失)を計上したバイタルケーエスケーHDですが、現状を挽回するために、会社として利益に関する試みを強化するようです。

その名も『貢献利益中心評価』!!

MSの人事考課に導入される新制度であり、バイタルケーエスケーHDの村井社長にとっては肝入りの施策みたいですね。

 

 

平たく言うと『売上ではなく利益重視の評価をするよ!』ということですね。

そんな貢献利益中心評価について、現在明らかになっている情報をまとめてみました。

・取引先ごとに「貢献利益表」を作成する
・取引先ごとに営業利益・各種コストを可視化する(元々やっていた取組みをさらに強化する)
・利益重視の評価制度によって価格競争一辺倒になりがちな活動から転換を図る

さて、この内容に関する元MSとしての率直な感想を述べさせてもらいます。

この内容だけを見ると、現場のMSにとってはハードルが高そうな印象を受けます。

業務全般のコストを全て『見える化』して、徹底的に無駄を減らす。

なるほど、確かにそれは合理的ですね。

赤字の状態から脱却するには、そのくらい厳しくコスト管理するのが手っ取り早いです。

しかし、コストを全て可視化されたとしたら、現場のMSにとっては強いストレスが発生するのではないでしょうか?

MSに対する意識改革という意味では、おそらく薬となるでしょう。

しかし、MSの業務上においてはになるような気がしてなりません。

ヒサシ
ヒサシ

何かにつけて利益やコストを追及されたら、MSにとっては息苦しいだけでは…?

こんな風に思ってしまうのは、私が元MSだからでしょうか?

第一、MSにとって利益を重視した活動って難しいんですよね。

取引先からの値引き要求は激しいし、値引きに応じなければ他卸に注文が流れるし。

そこで、今回はバイタルHDの『貢献利益中心評価』について思ったことを記事にしてみました。

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MSにとって利益重視の営業は容易ではない!

私がMSとして働いていた頃、利益の重要性については幾度となく考えさせられました。

そして、その度に『利益重視の営業は難しい』と実感したんですよね。

いくら自分(MS)が利益を出したくても、環境がそれを許さないって感じです。

安売りする(=価格によって他卸の帳合を奪う)ことで、確かに自社の売上はアップします。

 

 

しかし、それは他の医薬品卸も考えていることでもあります。

よって、遅かれ早かれ、他卸のMSは価格で帳合を奪い返そうと逆襲してきます。

やられたらやり返す!倍返しだ!!

 

…などという半沢直樹よろしくの場面はザラにあります。

そして、さらに他の卸のMSも価格競争に参戦してくる。

安売りがさらなる安売りを招き、MS同士の泥仕合が続いていく。

こうして負のスパイラルが形成され、MSは皆揃って抜け出せなくなるのです。

極端な話、MSとしては売上を求めれば求めるほど、利益は諦めざるを得ないのです。

では、利益重視のために売上を諦めるか?

いやいや、そう簡単にはいかないのがMSの仕事なんです。

もし利益重視で安売りをしない卸がいたとしたら、それはそれで他卸にとっては良い標的なんです。

卸Aが安売りしないのなら、卸Bや卸Cが安売りするだけの話です。

その結果、卸Aとしては売上が大幅に減り、それに伴って最終的な利益も減る。

つまり、卸Aにとっては良いことなんて何もないワケです。

よって、MSにとっては売上・利益の両立というか、良い意味でのバランス感覚が求められます。

しかし!

この売上・利益のバランスを取るのがこれまた難しい。

このご時世、取引先との関係性のみを武器にして売上・利益を維持するのは至難の業です。

何だかんだ言って、薬価差益を求めている医療機関は多いのですからね。

MSが頑張って価格交渉をすると言っても、取引先からの圧力が強すぎて、卸側は安値にせざるを得ない場合が殆どです。

取引先だって商売をしていますから、少しでも安い業者から医薬品を買いたいに決まっています。

よって、バイタルHDのMSがどれだけ取引先に強いとしても、利益重視の活動に転じるのは困難でしょう。

それどころか、既存の実績を維持するだけで精一杯かも知れません。

まとめますと、ライバルとなる医薬品卸がいる以上、MSにとって利益重視の営業は簡単なことではないのです。

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利益を追及されるとMSは辛い!

当たり前の話ですが、MSだって好きで安売りしている(=利益を犠牲にしている)わけではないのです。

安売りせざるを得ないから、仕方なく安売りしているのです。

じゃあ、誰が悪いのか?

…ということを考えると、ぶっちゃけ誰も悪くないんですよね。

(※MS目線だとどうしても他卸が『悪』に見えてしまうが、本質はそうではない。)

取引先は少しでも安く医薬品を買いたい。

他卸は売上を失うまいとして、血眼になって安売りしてくる。

だから自分も価格競争に参戦する必要がある。

なぜなら、今以上に売上・利益を失うわけにはいかないから。

ヒサシ
ヒサシ

つまり、誰が悪いとかではなく、各々の希望や主張が交錯しているだけなのです!

MSが安売りするとき、根底にはこんな事情があるのです。

しかし、こういった場合だと社内では高確率でMSが悪者にされるんですよね。



利益を稼げないのは、お前の営業方法が悪いからだ!
取引先との信頼関係が強ければ、医薬品ってのは高値で販売できるんだよ!
安売りなんかしてないで、どうやったら高値で買ってもらえるのかを考えろ!


私がMSだった頃、当時の上司・先輩からはこんな感じで厳しく指導されたもんです。(汗)

おそらくですが、バイタルHDの社内でも同じような事例があるんじゃないかと思っています。

ハッキリ言って、安売り云々についてはエリアや取引先次第なところがあるので一概には言えませんが…

バイタルHDの『貢献利益中心評価』の性質を考えるに、価格交渉がキツい施設を多く担当しているMSほど、利益を稼げずに苦しむのではないでしょうか?

数ヶ月ごとに価格交渉のテーブルへと呼びだしてくる病院。

院長自ら薬価差益を要求してくる開業医。

1円でも安い業者から薬を買いたいと主張している調剤薬局。

こういった一癖も二癖もある取引先を多く担当しているMSほど、利益を稼げなくて苦労するはずです。

なおかつ、急配などのイレギュラー対応についてもコストを可視化されるとしたら、MSとしてはストレスがヤバいことになりそうです。

ハッキリ言って、急配なんてMS個人の努力でゼロにできるような業務ではありませんからね。

 

 

バイタルHDが赤字から脱却するために、利益重視の活動へとシフトしないといけないという理屈は理解できますが…

正味な話、実行部隊であるMSにとっては辛いだけではないでしょうか?

今までだって限界ギリギリまで頑張ってきたのに、これ以上どうやって利益を捻り出せば良いのか。

会社はどこまで現場に対して鞭を打つつもりなのか。

そんな風に思っているMSは多いのではないでしょうか…。

『貢献利益中心評価』の裏の目的は人件費の削減か?

先ほど述べた通り、MSにとって利益重視の営業活動はハードルが高いです。

よって、バイタルHDの『貢献利益中心評価』について、会社から課された利益目標を達成できるMSは少数派だと思います。

付け加えると、バイタルHDが現在赤字であるという事実が、現場のMSをより一層苦しめるのではないかと予想しています。

 

 

村井社長が赤字からの脱却を目指すと言っている以上、それ相応の利益目標が各MSに課されているはずです。

しかも、売上総利益ではなく営業利益を追及されるわけですからね。

具体的にどこまでコスト面が可視化されるのかは分かりませんが、MSの個人的な努力によってコスト削減をしようにも限界があります。

 

 

取引先への対応のみならず、社内でのコスト削減も求められる。

どんだけハードモードなんだって話です。

…というワケで、これまた私の勝手な予想ですが、利益目標を達成できるMSはほんの一握りという結果になる気がします。

それは即ち、低評価で終わるMSが続出することを意味しています。

MSだってサラリーマンですから、低評価であれば待遇面が芳しくないものになるでしょう。

賞与の減額はもちろんのこと、もしかしたら降格・基本給の引き下げといった展開になるかも知れません。

ヒサシ
ヒサシ

ある意味、制度を盾にした賃金カットが起こる…?

低評価の社員(MS)には、それ相応の見返りしか与えない。

会社としては至極当然の理屈です。

以上のことを踏まえて考えてみると…

貢献利益中心評価の裏の目的とは、人件費の削減なのではないでしょうか?

現場のMSに無理難題を課し、利益目標が未達成で終わったMSに対しては低評価を与え、それを理由にして賃金をカットする。

さすがにこれは自分でも邪推だと思うのですが…

理由はどうであれ、会社目線で考えてみると人件費を抑えられるに越したことはない。

赤字となっているバイタルHDのような会社であれば尚更でしょう。

バイタルHDに限ったことではありませんが、会社が人事考課を改変するとき、そこには何らかの意図があるはずです。

その意図を深読みしたときに、貢献利益中心評価には大小様々な思惑が含まれている気がしてなりません。

まとめ:貢献利益中心評価はMSを苦しめる予感がする!

会社として、赤字から脱却する。

そのために利益重視の活動をMSに強いる。

赤字を計上してしまったバイタルHDという会社目線で考えてみると、これは当然の施策です。

むしろ、この状況で利益に最注力しないなんてあり得ないですからね。

その反面、現場のMSにとっては凄まじい負荷が掛かるのは間違いありません。

ヒサシ
ヒサシ

現場のMSにとっては絶対にキツいと思います…。

新設された貢献利益中心評価とは、薬としての効果よりも、毒として副作用の方が強く出る気がしてなりません。

利益を稼ぎ出すために、MS一人一人が努力すべきという理屈は理解できます。

それは決して間違っていない。

その一方で、MS個人の努力では覆せないような要素もまた多いの思うのです。

極端な話、自分の担当エリア内に一社でも価格攻勢を仕掛ける卸(MS)がいたら、それだけで利益目標に支障が出てきます。

やたらと価格についてうるさい取引先が多い場合も同様です。

こんな具合に、MSの利益目標達成を阻む要素を数えたらキリがありません。

これらの障害を乗り越えて、会社から課された利益目標を達成できるMSが果たして何人いるでしょうか?

どう考えても少数派だと思うんですよね…。

多くのMSは利益面において苦戦し、疲弊し、憂鬱な気分を味わうことになるのではないでしょうか。

バイタルHDのMSにとっては、辛い試練になるかなぁと個人的には思っています。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。



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