医薬品卸のMSが返品を嫌うのはなぜ?それは再販するのが大変だからです!

こんにちは、アラサーMRのヒサシです。

今回はMSが行う仕事の1つである『返品処理』という業務について記事にしてみました。

この『返品処理』という行為は、世の中の全MSにとっては『嫌な仕事』の代表格でもあります。

大変かつ手間がかかる仕事である反面、それを上手くこなしたところで誰からも褒められません。

つまり、『返品処理』とは医薬品卸内にて評価される類の仕事ではなく、『やって当たり前』の業務なのです。

そんな仕事で不手際があった日には、それはもうメチャクチャ怒られます。

そこで、本日は全国のMSを苦しめている『返品処理』というテーマで記事を書いてみました。




MSと返品に関わる理不尽な現実


そもそも医薬品卸における『返品処理』とは何か?

これは大きく2つの業務に分けられます。

まず、取引先から医薬品卸への返品。

次に、医薬品卸から製薬会社への返品。

この2つとも、現場のMSにとっては負荷のかかる業務です。

いわゆる利益を生まない業務ですので、面白味の欠片もありません。

私自身、『返品処理』について考えると嫌な思い出が続々と甦ってきます。

取引先といい、製薬会社といい、そして自分の会社といい、自分が得する(損しない)ための主張しかしないのです。

まさに仁義なき戦いです。

現場のMSからしたら、

仁義って何?

美味しいの?

…みたいな感覚です。

この返品というものを巡って、MSはあらゆる方向から板挟みにされて苦しみます。

その理由は大きく下記の3つあります。


①:返品の手続きが面倒くさい

②:再販先が見つからない。

③:製薬会社が引き取ってくれない


MSが苦しむ理由としては大体こんなところです。

何かとエグい事情が付きまとう『返品処理』ですが、この先は私の実体験を踏まえて書かせていただきます。

①:返品の手続きが面倒くさい

これは文字通りの意味です。

一度取引先に買ってもらったものを回収しに行くわけですから、その時点でMSのモチベーションは急降下です。

そして当たり前の話ですが、返品を受けるということは、自社の売上と利益がマイナスになることを意味します。

つまり、医療機関に直接伺って医薬品を回収するという時点で、1円の利益も生まない仕事に時間と労力を割くことになるわけです。

さらに厄介なのが、返品対象の薬が『本当に自社から販売したものかどうか』ということを確認しなくてはならない点です。

例えば、ある病院が医薬品X卸A卸Bから交互に購入していたとします。

(※価格などの問題で医療機関が複数の卸から同じ薬を買うことはよくあります。)

医薬品Xについて卸Aが返品を受ける際、卸AのMSは過去の伝票内容を見て、

医薬品Xが間違いなく卸Aから納入したモノである』

…ということを確認する義務があるのです。

医薬品卸の伝票には薬の『使用期限』『ロット(製造番号)』『納入日』『納入金額』などが全て記載されています。

MSはそれら情報を参考にして『返品依頼を受けた現物』『自社が売ったモノかどうか』について照合しないとダメなのです。

MSにとっては、この一連の作業が面倒なのです。

では、なぜそんな面倒なことをするのか?

理由は簡単で、卸AのMSが間違って『卸Bが納入した医薬品X』を返品処理してしまったら、卸Aが損をするからです。

ついでに言うと、卸BのMS、つまりライバルが得することになります。

では、もし『卸Bから納入した医薬品X』を卸Aが返分処理したらどうなるでしょうか?


『卸AのアホMSがウチ(卸B)から納入した薬を引き取ってくれてラッキー♪』

『これでウチ(卸B)は面倒な返品処理をせずに済むぞ!』

『ついでに卸Aの売上と利益もマイナスだぜ!いい気味だ!』


…と、こんな具合にライバル卸が喜ぶのです。

よって、返品処理とは1円の利益も生まない反面、手抜きして適当な処理をしていると何かと不都合が生じる仕事なのです。

②:再販先が見つからない

これも返品処理の厄介な一面です。

タチの悪い取引先は『使用期限が切迫している薬』を平気で返品依頼してきます。

使用期限が残り2~3ヵ月の薬を返品依頼されることも珍しくありません。

しかし、どんなにタチが悪くても、MSにとって取引先はお客様。

返品依頼を断るなんてことはまず不可能です。

さて、返品処理した薬は当然ながら卸の在庫になります。

在庫とは販売して初めて利益を生むモノです。

そして、販売ができずに使用期限を迎えた薬など売れるはずがありません。

そのような薬は『減耗処理する』イコール『廃棄する』しかないのです。

廃棄する』ということは、その薬を製薬会社から仕入れるために支払った金額が100%無駄になるということです。

よって、MSは『使用期限が切迫している薬』を引き上げたら後、その薬を何が何でも売らなければいけません。

何より、上司からの圧力が半端じゃありません。

売らなければその薬は廃棄されるのです。

つまり、会社が丸々損をしたことになる。

そんなことは上司(会社)目線で考えれば何としても避けたいわけです。

よって、『使用期限が残り僅かでも、その薬を使ってくれる医療機関を探す』という行為が必要になるのです。

だからMSは皆、あるかも分からない再販先を探す作業に必死で取り組むのです。

しかし、期限切迫品の薬を買い取ってくれるような取引先は中々いません。

再販先が上手く決まれば問題ありませんが、『再販先を探す』こと自体にも時間と労力が必要です。

そして、結局のところ再販先が見つからず、薬が使用期限日を迎えてしまった日には上司から雷を落とされます。

そんな展開になってしまったら、MSとしては只々辛いだけです。

③製薬会社が引き取ってくれない

MS(医薬品卸)にとって取引先から引き上げた薬を製薬会社に返品するというのは最後の手段です。

再販先がどうしても決まらない。

でも、医薬品卸内で減耗するわけにはいかない。

となれば、元々の仕入れ先である製薬会社に返すしかないのです。

ですが、製薬会社が期限切迫品を引き取ってほしいと頼んでも、大抵は断られてしまいます。

特に、外資系の製薬会社は返品引き取りについてメチャクチャ厳しいです。

でも、製薬会社目線で考えれば当然のことなのです。


『これは、一度あなた(卸)が買い取った薬でしょ?』

『だから、あなた(卸)が責任を持って、どこか(病院など)に販売してください。』

『期限切迫品のような不良在庫をウチ(製薬会社)で引き取るなんて論外です。』


簡単にまとめると、このような理屈です。

私は現在MRとして働いているので、製薬会社側の事情をMSだった頃以上に理解しています。

製薬会社も利益状況が厳しくなってきているのです。

何しろ、医薬品卸へのリベートアローアンスを減らしているご時世です。

ベーリンガーが医薬品卸へのアローアンスを減らそうとしている!?

製薬会社からすれば、医薬品卸の在庫を引き取ってあげるような余裕などないのです。

今でもたまに会ったこともないMSから電話が来て、

『お宅でこの薬を引き取って頂けませんか?』

『再販先がなくて困っているんです…。』

…と相談されることがあります。

しかし、私はその度に心を鬼にして、

『そのご相談に応じることはできません。』

『御社で再販先を探してください。』

…と伝えています。

元MSとして、MSを助けてあげたい気持ちはあります。

しかし、少なくとも私の会社は期限切迫品のような不良在庫を引き取るようなことはしていません。

よって、MRの立場としては断るしかないのです。

MSだけでなく、MRとしても辛いところです。

廃棄品を出してしまったMSの末路


再販先もない。

製薬会社も引き取ってくれない。

その後、不良在庫化した薬が期限切れを迎え、廃棄されることが決まった。

そうなると担当MSはどうなるでしょうか?

社内でメチャクチャ怒られます

上司から呼び出され、罵倒混じりの説教をされるのです。


『おまえが取引先の在庫状況を把握していないから、こんなことになったんだ!』

『おまえが再販先を探すのが遅いから、こんなことになったんだ!』

『おまえが製薬会社への返品交渉をしくじったせいだ!』

『会社が○○円も損した分、おまえはどうやって責任を取るつもりだ!?』


この辺りの説教は上司の種類によって多少違うかも知れません。

ですが大体の場合、MSはキツい言葉を浴びることになります。

ちなみに、これはヒサシの実体験でございます…。

まとめ:返品処理は大変かつ嫌な仕事である


今回はMSが行う『返品処理』について色々と書いてみましたが、いかがでしたでしょうか?

MSにとっては本当に嫌な仕事です。

そのくせ1円の利益も生まないわけですから、モチベーション的にも宜しくありません。

しかし、MSであれば多かれ少なかれ、必ず経験するのがこの『返品処理』という仕事です。

取引先の中には在庫管理が下手な病院・調剤薬局も結構ありますから、そういった先を多く担当しているMSは大変です。

私の先輩MSで1日中、再販先を探したり、製薬会社のMRや特約店担当者に返品交渉しているような人もいました。

つまり、MSも色々な意味で必死なのです。

医薬品卸とは薄利多売のビジネスをしていますから、ただでさえ少ない利益額を減らすような医薬品廃棄は、会社にとって大ダメージなのです。

この辺りも、MSがMRよりも大変・激務だと言われる部分なのかも知れません。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!





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