医薬品卸のMS(営業職)は激務なのか?元MSが解説します!

こんにちは、アラサーMRのヒサシです。

本日は私の前職である医薬品卸のMS(営業職)について記事を書いてみました。

MSはキツい、辛い、しんどい、辞めたい。

MSに関してネットで検索すると色々なネガティブワードが出てきます。

しかし、実際にはどうなのか?

MSの仕事におけるキツい要素とは、一体どのようなものなのか?

MRとの比較も交えて、元MSの視点から解説します。




MSはルーチンワークの種類が多い


さて、MSの仕事というのは沢山あります。

MRと比べると、仕事の種類自体は格段にMSの方が多いです。

ただし、個人的な意見ですが、1つ1つの仕事はそれほど難しくありません。

右から左に流すような仕事、言い換えれば、単純作業的な仕事も結構あります。

MSのルーチンワークを大まかに分類すると以下の通りです。

・薬または医療材料などの販売

・薬の配達

・伝票処理

・返品処理

・請求書の作成

・債権管理

・見積もり作成

・価格交渉

・MR(メーカー)との打ち合わせ

・受発注の業務

かなり無理矢理ですが、MSの基本業務を10種類にまとめてみました。

MSの仕事を細かく分類するとまだまだあるのですが、大雑把にまとめると大体こんな感じです。

ただ1つだけ言えることは、MSはMRと比べて書類仕事が格段に多いです。

伝票処理や請求書作成は最たる例であり、1つ1つの仕事は簡単ですが、量が多いので結構疲れます。

債権管理も結構な曲者でして、担当エリアの中に支払いが悪い医療機関があると大変です。

医薬品卸目線で考えると、薬を届けているのに代金を払ってくれないような医療機関は天敵です。

代金を払ってくれない、それはつまり踏み倒しているのと同じです。

とはいえ、腐っても顧客です。

MS(営業)としては、あまり強く『お金を払ってください!』とは言いにくいものです。

一方、配達の仕事も厄介です。

特に、土日祝や連休に配達当番が回ってくると休日が潰れてしまいます

MSが長期休暇を取りにくい理由はこの辺りにあります。

こちらの記事にも書きましたが、私自身、MS時代は年末年始GW中に医療機関から何度も呼び出されたものです。

MRとMSとの違い②【休みやすさ編】

GWの時期になるとMS時代に休日当番で苦しんでいたことを思い出す

ルーチンワークの種類が多く、なおかつストレスフルな種類の仕事が多い。

そして、ルーチンワークが多い関係上、『質』よりも『量』をこなすことが求められる傾向があります。

よって、MSには事務処理能力やストレス耐性が必要です。

このことから、激務かどうかはともかく、MSは向き不向きが大きく分かれる職種だと思います。

MSは配達による力仕事が多い


さて、MSは薬の配達も行います。

一方で、医薬品卸の場合、薬の配達に専門に行う配送職が存在します。

『だったら配達系の仕事は配送職の人に任せて、MSは営業活動に専念すればいいじゃないか!?』

…と、新入社員だった頃の私は思っていました。

しかし、この考え方は間違いです。

医薬品卸における薬の配達とは、そんなに単純じゃありません。

誤解を恐れず真実を言います。

配送職だけで配達業務を行うことは、薬の物量が多すぎるため不可能です

配送職だけでは人手不足だから、MSも配達業務に駆り出されるのです。

特に、配送職の人たちが勤務時間外で不在となる時間帯(早朝や夕方以降など)はMSが配達業務を行うしかありません。

他にも、病院などから輸液の大量発注が来た場合もMSが配送職を手伝う、または配達業務を丸ごと肩代わりします。

この輸液というのが厄介でして、1箱で10kgくらいはあります。

そんな輸液を数十箱も車に積み、病院に着いたら荷下ろしをして、台車に乗せて薬局まで運ぶのです。

場合によっては、検品後に薬局の倉庫などで棚詰めしないといけません。

これが中々の重労働でして、暑い時期などは特に大変です。

汗まみれになるので、替えのシャツやタオルは必須です。

私は体力には自信がある方でしたが、夏場の配達業務は本当に堪えました。

いや、夏場でなくても、これが重労働であることに変わりはありません。

つまり私が言いたいのは、MSは配達業務から逃れることはできないということです。

担当エリアの事情にも左右されますが、MSは多かれ少なかれ、嫌でも配達業務を行います

その嫌でも行う配達業務、身体的な意味で私はキツかったです。

この辺りも、MSという仕事がしんどい理由の1つでしょう。

MSは営業職だからこそメンタルを病むことがある


ところで、MSの顧客って誰だと思いますか?

おそらく、多くの人は『医者』を思い浮かべるのではないでしょうか?

もちろん、それは正解です。

しかし、MSは医者だけを相手にしているわけではありません。

MSにとっての主な取引先は病院、開業医、調剤薬局といった医療機関ですが、他にも介護施設、老健施設、歯科などもあります。

つまり、MSの顧客とは医者だけではありません。

調剤薬局の薬剤師や、同じくそこで働いている医療事務。

他にも、病院の総務課や用度課で働いている事務員。

施設で働いている介護士や栄養士。

MSと普段付き合いのあるMRですら、取引会社であることを考えれば、ある意味顧客です。

このように、MSは沢山の人間相手に仕事をしています。

そして、これだけ沢山の顧客がいれば、その中には変な人間嫌な人間も当然います。

多いか少ないかは別として、厄介な顧客は必ずいます。

私がMS時代に経験した厄介な顧客といえば、例えば…

・『配達時間が遅い』と毎回クレームをつけてくる調剤薬局の薬剤師

・在庫管理が下手で休日の夜に注文電話してくる病院薬剤師

・請求書のレイアウトが気に食わないとケチ付けてきた事務員

・過度な値引き要求をしてくる薬剤部長

・話がまるで通じない老健施設の60代事務長

・電話やメールのレスポンスが悪いMR

いくら仕事とはいえ、私にとって上に挙げたような人々と付き合っていくのは相当なストレスでした。

もちろん、私が100点満点の仕事をしていないからこそのクレームもあったことは否定しません。

…が、それを差し引いても明らかに変な人間と付き合っていくのはキツいです。

むしろ、世間ではプライドが高いだの傲慢だの言われている医者の方が、顧客という意味ではよっぽど付き合いやすかったです。

結局のところ、どんなに変な相手だろうと顧客であることに変わりはありません。

そして、MS(営業)は顧客を大切にしなければなりません。

嫌でも顧客と付き合っていく義務があります。

どんなに嫌味を言われようとも、その場は堪えるしかないのです。

例え自分が悪くなくても、頭を下げなければならないときは必ずあります。

こういった現実に耐えられなければ、メンタルを病んでしまいます

これはMSだけでなくMRにも共通することですが、営業である以上、変な顧客は避けて通れません。

この辺りを理解していないと、精神的な意味で仕事がキツいと感じるでしょう。

自社MSが扱う医薬品は他社MSも扱っている


まず知っておいて頂きたいのは、医薬品卸とは流通業であるということです。

ちなみに、製薬会社はその名が示す通り製造業です。

つまり、MSは流通業の営業マンです。

MSが販売&配達する医薬品とは、あくまで製薬会社が造っているモノです。

医薬品卸自体が薬を造っているわけではなく、製薬会社が造った薬を流通させているのです。

こういった仕組みなので、MSは製品力でモノを売ることは出来ません

例えば、ある製薬会社が造っている医薬品Aがあるとします。

この医薬品Aを医療機関に販売&配達することは、どこの医薬品卸でも可能です。

仮に、卸A、卸B、卸Cがあったとして、この卸達は全て医薬品Aを扱うことが出来るのです。

医療機関目線で考えると、医薬品Aが欲しいなら、どこの卸から買おうと大差は無いわけです。

大差が無いということは、各卸のMSの営業力が大きく関係してきます。

こんな状況で医療機関に自社から医薬品Aを買ってもらうために、各卸のMS達はどうするのか?

ここがMSとしての能力が問われるポイントであり、またストレスを感じる部分でもあります。

卸AのMSは安値で販売することで医療機関にアピールし、

卸BのMSは注文もらった後、すぐに配達に来れることをアピールし、

卸CのMSは『ウチとお宅の仲じゃないですか~』といった具合に長年の付き合いをアピールして交渉する。

こんな具合に医薬品Aの販売権を獲得しようとMS同士で営業合戦を行います。

繰り返しになりますが、医療機関にとってはどこの卸から医薬品Aを買っても大差はありません。

もし卸Aが安値を武器にして、医療機関側と一度は医薬品Aの購入契約を結んだとしても、後になってから、契約卸が変わるなんてことはザラにあります。

医療機関の人間、特に購入に携わっている人はMS、及び、医薬品卸の仕事振りをしっかり見ています。

ある日、急に医療機関側から連絡が入り、

『卸Aさんは安いけど配達に来るのが遅いから、やっぱり卸Bさんに契約を変えるよ。』

なんて展開になることも珍しくありません。

こんなことが起こると、卸AのMSは上司から怒られます。

『おまえが適当な営業をしていたせいで、卸Bに注文が流れたのでは?』

『おまえが卸Bの動向をチェックしてないから、こんなことになったのでは?』

『注文が流れて売上と利益が減ったことについて、おまえは責任を取れるのか?』

こんな具合に詰られます。

実際に、私自身もこのように上司から詰られた経験は何度もあります。

こうやって契約がすぐにひっくり返ることが日常的に続くと、精神的に疲れてきます

いくら医療機関の要望に応えて働き、いつも笑顔で接し、ときには雑用の手伝いまでしたとしても、契約がひっくり返るときはマジでひっくり返ります。

『俺は一体、何のために頑張ってきたのだろうか…。』

と、打ちひしがれたこともあります。

ハッキリ言って、精神的にキツかったです。

MSが激務かどうかは、MSを体験してみないとわからない


ここまでMSがキツいと感じる要素について書いてみました。

しかし、MSが激務でキツいと感じるかどうかは人それぞれです。

私がMSを辞めたのは、自分がMSに向いていない、自分はMSの仕事に耐えられないと自覚したからです

一方で、活き活きとMSの仕事を楽しんでいる人間、MSが性に合っている人間がいることも事実です。

MSはやりがい抜群の仕事だよ!!

…と、思っている現役MSの方も世の中には存在するということです。

実際、MSとしてバリバリ働いて活躍している人もいます。

これが医薬品卸のスーパーMSなのか?大学病院の担当MSが優秀すぎる!

一方で、MSとして働くことに疲れてしまい、左遷されてしまう人もいます。

医薬品卸の倉庫は『MSの墓場』である…という意見について検証してみた。

結局のところ、その仕事が激務でキツいどうかかは、その仕事を経験した人間にしか分かりません。

この記事の中では、私自身が苦しんだエピソードが多く含まれていますので、読者の皆さんにとっては、

『医薬品卸のMS(営業職)ってキツいんだな…。』

的な印象が強いかも知れません。

これが一人の元MSとしての意見であり、MRとMSの両方を経験した私の本音です。

単純な『キツさ』で言えば、少なくとも私にとって、MSはMRよりも『キツい』と感じます。

ちなみに、MS時代のエピソードについては、また機会があれば記事にしてみたいと思います。

では、失礼します!





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