医薬品の販売における『売差(ばいさ)』とは?現役MRが解説します!

こんにちは、アラサーMRのヒサシです。

今回は『売差(ばいさ)』というものについて記事を書いてみました。

医薬品業界においてはMRよりMSの方と関りが深い言葉でもあります。

ただ、MRとしても知っておいた方が良い言葉ですし、MSであれば尚更です。

ちなみに、私が新人MSだった頃に『売差』というものについて詳しく解説してくれた先輩はいませんでした。(汗)

そのため、新人のMR・MSにとっては勿論のこと、業界未経験の方にとっても分かりやすいように噛み砕いて書いています。

5分くらいでサクッと読めるような内容なので、興味があればご一読ください。




『売差(ばいさ)』を理解するために必要な薬価・仕切価・納入価の概念


医薬品というモノは製薬会社⇒医薬品卸⇒医療機関(病院・薬局など)⇒患者という流れで動いている商品です。

当然、この流れの中でお金のやり取りが発生しています。

お金のやり取りがあるということは、売値や買値、それに伴う利益額が発生することを意味しています。

さて、本日のテーマである『売差』とは、『医薬品卸が医療機関(病院・薬局など)に医薬品を販売した際に発生する利益額』を指す言葉です。

他には『1次売差』『1次マージン』という呼ばれ方をすることもあります。

…と言われても、小難しくてよく分からないと思う方もいるかも知れませんね。

超簡単にまとめると、『売差』とは『医薬品卸における収入源の1つ』です。

そこで、製薬会社⇒医薬品業界⇒医療機関(病院・薬局など)における医薬品の流れについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

医薬品卸とは、製薬会社から医薬品を仕入れて、その仕入れた医薬品を医療機関に販売することで利益を得ている会社です。

このとき、医薬品卸が製薬会社から医薬品を仕入れる(買う)ときの金額を『仕切価(しきりか)』と言います。

さらに、医薬品卸が医療機関(病院・薬局など)に医薬品を納める(売る)ときの金額を『納入価(のうにゅうか)』と言います。

また、上記の『仕切価』と『納入価』とは別に、国が定めた薬の価格である『薬価(やっか)』というものも存在します。

(※医療保険制度における『薬価』とは略称であり、正しくは『薬価基準』という名前なのですが、『薬価』について詳しく書くとキリが無いので今回は割愛します。)

とりあえず、この場では『薬価』『仕切価』『納入価』の3点を覚えてもらえれば大丈夫です。

『売差』の計算方法


売差』とは『利益の金額』を意味する言葉です。

そして、『売差』とは『薬価』『仕切価』『納入価』の3点をもとにして計算されます。

では、ここで簡単な例をご紹介します。

例えば、『薬価』が100円の医薬品Aがあるとします。

その医薬品Aについて、医薬品卸は製薬会社から80円で仕入れています。

さらに、医薬品卸は医薬品Aを90円で取引先に販売したとします。

この場合、『薬価』は100円、『仕切価』は80円、『納入価』は90円です。

では、ここで問題です。

この場合の『売差(利益)』は何円でしょうか?

…すいません、簡単すぎますよね。(汗)

答えは『10円』です。

『売差』とは、『納入価』から『仕切価』を引いた金額です。

つまり、この場合だと『売差』は『10円』であり、これが医薬品卸にとっての利益(儲け)になるというワケです。


図で表すとこんな感じですね。


ご覧の通り、全然難しくありません!

『売差』という小難しい言葉に惑わされずにシンプルに計算すれば良いのです。

『売差』がマイナスになる場合もある


先ほどは医薬品業界において最も一般的な例を紹介しました。

では、ここから業界内のエグい側面を紹介します。

例えば、先ほどと同じく『薬価』が100円の医薬品Bがあるとします。

この医薬品Bは『仕切価』が90円だとします。

しかし、ある取引先から『医薬品Bの納入価は80円じゃないと買わない!』と言われてしまった。

その後、医薬品卸は渋々ながら『納入価』を80円で販売しました。

この場合、『売差』は『マイナス10円』です。


図で表すとこんな感じですね。


売差がマイナスってことは、医薬品卸が損してるじゃねーか!

…と思う方もいると思います。

意外と思うかも知れませんが、実は業界内ではよくあることです。

…と同時に医薬品卸(MS)を悩ませるタネでもあります。

この薬剤の納入価は○○円にしてくれなければ、お宅の会社からは買わないぞ!

…といった具合に、納入価の引き下げ要求をしてくる取引先は少なからず存在します。

卸側としても薬を買ってもらえないと困るので、嫌々ながらも売差マイナスで販売するのです。

もちろん、これは極端な例です。

全ての取引先がここまで我儘なワケではありません。

それに、今回の例で挙げたように医薬品Bが売差マイナスになってしまったとしても、他の医薬品Aや医薬品Cで売差をプラスに保てれば、トータルで考えれば売差(利益)を確保できます。

…とはいえ、やはり医薬品卸としては売差がマイナスになるのは避けたいものです。

しかし、取引先からの値引き要求には逆らえず、渋々対応するパターンもあるのです。

売差マイナス時の補填方法


さて、先ほどは売差マイナスについて紹介しましたが、他の医薬品販売でマイナス分をカバーしなくても良い措置が存在しています。

記事の序盤で『売差』とは利益のことであり、別名『1次マージン』と書きました。

医薬品卸の目線から見ると、『1次マージン』の他にも『2次マージン』『3次マージン』と呼ばれる利益が存在しています。

業界内における『2次マージン』とはリベート、『3次マージン』とはアローアンスのことです。

医薬品業界の『リベート』について解説します!製薬会社の苦しい本音とは?

製薬会社が医薬品卸に支払う『アローアンス』とは?医薬品業界の真実をお伝えします!

リベート・アローアンスとは製薬会社から医薬品卸へと支払われるお金のことです。

こういったリベートやアローアンスのお陰で、売差マイナスで販売したとしても医薬品卸という会社全体で見れば利益はプラス状態になるのです。

例えば、先ほどの例だと医薬品Bは売差マイナス10円でした。

その一方で、製薬会社からリベートが10円、アローアンスが10円入ってくれば、医薬品卸としての最終的な利益額はどうなるでしょうか?

-10円(売差)】+【10円(リベート)】+【10円(アローアンス)】=【10円(最終的な利益額)】となります。

医薬品Bはあくまで一例ですが、製薬会社と医薬品卸との間では、こういった利益に関するやり取りが行われています。

ただし、言い換えれば医薬品卸は売差がマイナスになった分をリベートやアローアンスによって何とか補填してもらっている状態であるとも言えます。

しかも、昨今は製薬会社も経営が苦しくなってきています。

実際のところ、ここ数年で医薬品卸に対するリベート・アローアンスは減少してきています。

ベーリンガーが医薬品卸へのアローアンスを減らそうとしている!?

ここ数年で医薬品卸の収益が悪化しているのは、こういった事情があるからなのです。

まとめ:『売差』とは医薬品卸の収入源の1つである!


売差』とは『薬価』『仕切価』『納入価』の3点から計算される。

場合によっては『売差』がマイナスになることもある。

その場合、他の医薬品販売で発生した売差、あるいはリベートやアローアンスで補填することで、医薬品卸という会社全体としては利益額をプラス状態に保っている。

いかがでしたしょうか?

今回はかなりザックリとした説明になってしまいましたが、何となくイメージが掴めましたでしょうか?

MRは医薬品の仕切価や納入価、さらに言うなら現物には触れる機会が少ない職業です。

そのため、他業界の営業職と比べると異質なところがある職種ですが、知っておいて損はない内容です。

また、MSにとっては常識レベルで知っていることでもあります。

…とはいえ、新人MS時代の私は『売差』というものについてイマイチ理解できていない時期がありました。

そこで、今回は復習も兼ねてこのような記事を書いてみた次第です。

売差マイナスは医薬品卸のMSを苦しめる要因の1つでもあります。

取引先からの値引き要求のプレッシャーは並大抵ではないでしょう。

しかし、そんなプレッシャーに負けずに価格交渉しているMSさんには頭が下がります。

どうか、売差マイナス解消のために今後も頑張っていただければと思います。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!





シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする