医薬品業界における『広域卸』と『地場卸』の違いとは?医薬品卸の元社員が解説します!

MSと業界用語
この記事では、『広域卸』と『地場卸』との違いや見分け方について解説しています。

こんにちは、医薬品卸のMS(営業職)として働いていたヒサシと申します。

医薬品業界には『医薬品卸』と呼ばれる業種があります。

その名の通り、医薬品の卸売をしている会社です。

具体的には、製薬メーカーから薬を仕入れて、その薬を病院・開業医・調剤薬局といった医療機関に販売するというビジネスですね。

このような形で医薬品卸が薬の安定供給を行っているからこそ、薬が医療機関へとスムーズに届くという仕組みになっているのです。

 

医薬品卸がなくなると困る人間は大勢いるぞ!業界内における卸の必要性を再考する!

 

ところで、この医薬品卸とは『広域卸』と『地場卸』の2種類に大別されます。

ヒサシ
ヒサシ

ちなみに、地場卸の読み方は『じばおろし』です!

こういった広域卸・地場卸という呼び方は業界独自のものですが、初めて医薬品業界に飛び込んだ人にとっては意味不明だと思います。

実際、私も学生時代に就活していた頃は全く意味がわかりませんでした。(汗)

(※余談ですが、広域卸・地場卸の違いについては某卸への入社選考の過程で知りました。)

 

学生時代の就職活動 体験記⑥【某・大手医薬品卸編】

医薬品卸のMS(営業職)として内定が出たときエピソードを紹介します!

 

さて、広域卸・地場卸共に、医薬品の卸売業を営んでいるという点は共通しています。

一方で、異なる点としては事業展開している地域・社員数・売上高・年収などがあります。

ただ、こういった要素を比較し始めたらキリが無いので、ここでは噛み砕いて結論をお伝えします。

早い話、全国レベルの広範囲で活動している会社が『広域卸』、特定の地域限定で活動している会社が『地場卸』と覚えてもらえればOKです!

では、これより先は広域卸と地場卸との違いについて、より具体的に解説していきます。

もし医薬品業界に興味がある人、あるいは医薬品卸への就職・転職を考えている人は、ぜひご一読ください!

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『広域卸』と『地場卸』の見分け方

まず初めにお伝えしたいことがあります。

実は、広域卸と地場卸を区別するための公的な基準はありません。

しかし、業界内では頻繁に広域卸・地場卸といった言葉が使われています。

では、どうやって広域卸と地場卸を区別すれば良いのか?

…ということで、まず広域卸の見分け方からお伝えします。

一般的に医薬品業界内で広域卸といえば、以下の4社を指すことが多いです。

・アルフレッサ ホールディングス株式会社

・株式会社メディパル ホールディングス

・株式会社スズケン

・東邦ホールディングス株式会社

これら4社は色々な医薬品卸が合併して生まれた医薬品卸です。

詳しくは後述しますが、4社とも全国各地で幅広い事業を展開しており、社員数も多く、売上高も膨大です。

アルフレッサHD、メディパルHD、スズケンの医薬品卸売業における売上高に至っては、2021年3月の時点で、何と3社とも2兆円を超えています。

2兆円もの売上があるって凄いですよね!

まさに、全国各地で多種多様なビジネスを行っているからこその売上結果です。

つまり、幅広い地域で事業をしている大きい会社だから『広域卸』と呼ばれているのです。

補足させていただきますと、上記4社について業界内では4大卸』『4メガ卸』『大手医薬品卸4社などと呼ばれることもあります。

(※このブログ内では『4大卸』という書き方をしていることが多いです。)

これら広域卸の中で、アルフレッサ・メディパル・東邦の3社はホールディングス(持株会社)です。

これでは紛らわしい!

…ということで、上記3社については『医薬品卸売事業』を担っている子会社のことを指して、広域卸と呼称することも多いです。

つまり、その場合の広域卸とは以下の4社を指します。

・アルフレッサ株式会社

・株式会社メディセオ

・株式会社スズケン

・東邦薬品株式会社

呼び方もこちらの方がシンプルなので、広域卸といったらアルフレッサ・メディセオ・スズケン・東邦の4社を挙げる人も多いです。

一方で『地場卸』とは、上記4社以外の医薬品卸を指すことが多いです。

付け加えると、地場卸と呼ばれる会社は日本全国にたくさん存在しています。

その中でも、業界内で特に地名度がある地場卸としては、以下の3社が有名です。

・株式会社バイタルケーエスケー・ホールディングス

・株式会社フォレスト ホールディングス

・株式会社ほくやく・竹山 ホールディングス

バイタルケーエスケーHDは関西地方と東北地方、フォレストHDは九州地方、ほくやく・竹山HDは北海道を根拠地として活動しています。

さらに具体的に言うと、例えばですがバイタルケーエスケーHDに関しては、子会社である『株式会社バイタルネット』が東北地方、『株式会社ケーエスケー』が関西地方で活動しています。

(※この辺りの事情を解説すると話が長くなってしまうので、この記事では割愛します。)

ご覧の通り、広域卸とは異なり、地場卸とは特定の地域だけで事業を展開していることがお分かりいただけると思います。

だからこそ、地方限定で活動している医薬品卸は『地場卸』と呼ばれているのです。

広域卸・地場卸の見分け方について、何となく理解できたでしょうか?

繰り返しになりますが、全国レベルの広範囲で活動している会社が『広域卸』、特定の地域限定で活動している会社が『地場卸』と覚えてもらえればOKです!

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広域卸の特徴

先ほどの紹介した通り、広域卸の強みは何と言っても事業規模です。

アルフレッサHD・メディパルHD・スズケン・東邦HDの4社について、医療用医薬品の売上高を合算すると、2021年3月の時点では何と7兆6,000億円ほどあります。

ご覧の通り、膨大な売上ですよね。

ちなみにですが、日本における医療用医薬品の市場は大体10兆円くらいです。

つまり、広域卸4社だけで医療用医薬品の市場シェアのうち約80%を握っています。

(※ちなみに、残りの約20%の市場シェアは後述する地場卸が占有しています。)

こうして見ると、広域卸4社がいかに医薬品市場の中で存在感がある会社なのかが分かりますよね。

実際、広域卸は地場卸と比べて社員数も多く、業界内でも先進的な取組みを行っています。

アルフレッサなら、『医療経営士』という資格取得の推進や、『NOVUMN(ノヴァム)』と呼ばれる流通管理システムの構築や普及。

メディセオなら、自社のMS(営業職)に『MR認定資格』を取得させることによる、製薬会社からの業務受託。

スズケンなら、『スペシャリティ医薬品(特殊な使い方をする高額医薬品)』の流通に対して特化した戦略。

東邦なら、医薬品卸の視点から生み出された『顧客支援システム』についての注力。

こんな風に、四者四様の独自路線を歩んでいます。

また、社員の年収についても地場卸より高い傾向にあります。

参考までに、広域卸4社の有価証券報告書に記載されている年収をお伝えします。


・アルフレッサ ホールディングス株式会社:726万円
・株式会社メディパル ホールディングス:783万円
・株式会社スズケン:662万円
・東邦ホールディングス株式会社:607万円

引用:2020年の有価証券報告書より作成(千円以下は切り捨て)

※あくまでホールディングス(持株会社)から引用したデータですので、実際に現場で働いている医薬品卸の社員年収とは乖離があるかと思います。


こうして年収だけを見ると、決して低くはない(むしろ高い?)ですよね。

首都圏のような大都市ならともかく、地方(田舎)においては高給取りに入る金額ではないでしょうか?

よって、単純な待遇面だけを考えると、後述する地場卸よりも広域卸の方が恵まれていると言えます。

地場卸の特徴

地場卸の強みは、昔ながらの医薬品卸売業です。

広域卸のように真新しいことに手を出すのではなく、従来の医薬品販売に精を出しています。

そんな活動の賜物なのか、地方においては広域卸よりも地場卸の方が高い市場シェアを握っている傾向があります。

例えばですが、ほくやく・竹山HDにて医薬品卸売業を担っている『ほくやく』に関して言うと、根拠地である北海道では圧倒的なシェアを誇っています。

それこそ、広域卸4社を寄せ付けないレベルで取引先との関係を維持しています。

他には、フォレストHDにて中心的な企業である『アステム』も、九州においては高い医薬品販売シェアを握っています。

それは即ち、広域卸よりも取引先から評価されていることを意味しています。

つまり、特定の地方においては広域卸の先進的な取組みよりも、伝統に基づいた手堅いビジネスを行っている地場卸の方が高評価を得ているのです。

この地場卸と取引先の関係性はバカに出来ません。

何しろ、取引先の人が『ウチは○○さん(地場卸の名前)としか取引しませんから!』などと平気で言うのです。

この記事を書いている私自身は、かつて広域卸のMS(営業)として働いていました。

そのときに心底驚いたのは、地場卸と取引先との関係の深さです。

広域卸が大手だろうが先進的だろうが、そんなこととは関係なく、取引先側が地場卸から好んで医薬品を買っているというのが実情です。

ヒサシ
ヒサシ

地場卸が培ってきた歴史の深さが窺えます!

北海道であれば、ほくやく。

東北であれば、バイタルネット。

関西であれば、ケーエスケー。

九州であれば、アステムや藤村薬品。

これらの地方において、上記の地場卸たちは常に存在感を発揮しています。

地場卸が長年に渡って築き上げてきた信頼関係があってこそ成立する取引。

これこそ、まさに地場卸ならではの地域密着型ビジネスと言えるでしょう。

そんな地場卸ですが、いくら取引先との関係性が強くても、待遇面では広域卸4社には及びません。

参考までに、この記事で紹介している地場卸3社の有価証券報告書に記載されている年収、及び、先ほど紹介した広域卸4社との年収を比較したグラフがこちらです。


・株式会社バイタルケーエスケー・ホールディングス:599万円
・株式会社フォレスト ホールディングス:602万円
・株式会社ほくやく・竹山 ホールディングス:558万円

引用:2020年の有価証券報告書より作成(千円以下は切り捨て)

※広域卸4社と同じく、あくまでホールディングス(持株会社)から引用したデータですので、実際に現場で働いている医薬品卸の社員年収とは乖離があるかと思います。


ご覧のように、年収だけを見ると広域卸4社ほど高くはありません。

平たく言うと、医薬品卸の年収とは、その会社の事業規模に比例するのです。

ちなみに、今回紹介した地場卸3社は、あらゆる地場卸の中でも特に規模が大きく、待遇面も相対的に良いとされている会社です。

もっと事業規模が小さい(=社員数や売上高が少ない)地場卸では、さらに年収が低くなると予想されます。

まとめ:広域卸と地場卸は『事業の規模』が異なる!

広域卸・地場卸を見分ける際のポイントは、会社としての事業規模です。

全国レベルの広範囲で活動している会社が『広域卸』であり、特定の地域限定で活動している会社が『地場卸』です。

そして、事業の規模が異なることによって、年収などの待遇面も変わってきます。

加えて、広域卸は業界内でも先進的な取組み行っており、地場卸は従来型のビジネスに取組んでいます。

実際には、先進的な取組み・従来型の取組みなどと一言ではまとめられないくらい、各医薬品卸は色々なことを試みています。

特に、広域卸4社に関しては次々と新しいことにチャレンジしています。

この記事で紹介した内容は、あくまで一部にしか過ぎません。

もしさらに各医薬品卸の取組みについて知りたいようでしたら、各社のホームページに目を通すことをお勧めします。

それと最後にもう一点、お伝えしたいことがあります。

広域卸・地場卸を問わず、現在の医薬品卸を取り巻く環境は厳しさを増してきています。

特に令和の時代に入ってからの逆風は並大抵ではありません。

もし医薬品卸への就職・転職を考えている人は、慎重な判断が必要です。

 

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取りあえず、広域卸と地場卸の違いを何となく理解するだけでしたら、この記事の内容を頭に入れてもらえればOKです!

以上、広域卸と地場卸についての解説でした。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!


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