医薬品卸のMSに自主的な退職を促す『姥捨山エリア』の過酷さについて語る!

MSの転職

こんにちは、元MSのヒサシです。

今回はMSを苦しめる過酷な担当エリアについて記事を書いてみました。

いわゆる『担当ガチャ』の大ハズレパターンです。

あまりにも過酷過ぎて、心身共に疲れ果ててしまうMSが続出するほどのエリア。

そんな凄惨極まるエリアについて、私を含む社内のMSたちは姥捨山エリアと呼んでいました。

姥捨山(うばすてやま)とは?

役に立たなくなった老人を山に捨てた』という伝説が起源の言葉です。

そこから転じて、組織や会社などで、年をとってあまり役に立たなくなった人を移しておく部署・地位・場所などのたとえとして使われています。

実は私がMSだった頃、隣の営業所が管轄している県境エリア(=最果てみたいな地域)があったのですが…

営業部内では、陰では皆揃って姥捨山と呼んでいました。

そのエリアに放り込まれた結果、心身共に疲れ果ててしまったMSは数知れず。

ある意味、MSに対する『追い出し部屋』として機能しているようなエリアだったんですよね。

実際、姥捨山エリアの歴代担当者は、下記のように相場が決まっていました。

・出世の見込みがないオジサンMS

・上司から好かれていない若手~中堅のMS

・能力あるいは人間性に難ありなMS

話を聞く限りでは、非公式なリストラと言っても差し支えないレベルの仕打ちです。

私がMSとして働いていた5年間だけでも、自ら担当エリア替え懇願したMSもいれば、人事部に直談判して内勤へと異動したMS、何も言わずに辞めていったMSまで、幾人ものMSが姥捨山エリアの犠牲となりました。

この記事を書くにあたって、実際にその姥捨山エリアを担当していた後輩MSから聞いた話を参考にしていますが…

その後輩MSもまた、いつ辞めようかと日頃から悩んでいました。

(※現在、その後輩MSは紆余曲折を経て、内勤職へと異動して働いています。)

MSに対して、自主的な退職を促すほどの威力を持つ姥捨山エリア。

その実態について語っていこうと思います。

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具体的な『姥捨山エリア』の条件

MS経験者であれば知っての通り、MSとしての仕事内容は担当エリアによって左右されます。

営業所から近いか?遠いか?

債権不良先はエリア内にどのくらい存在しているか?

自社のシェアは高いか?(=MRは協力的か?)

エリア全体を見渡した際、急配返品の頻度は高いか?低いか?

こういったエリア的な要素によって、MSとしての明暗が分かれます。

もちろん、MS個人の技量は大切です。

しかし、そういったMSの技量や努力だけでは覆せないものもあります。

そういった意味では、姥捨山エリアにおいてはMS個人の力では覆せない要素が多過ぎます。

早い話、もはや個人の努力でどうにかなるレベルではないんですよね。

どれだけ優秀なMSであっても、売上を伸ばせないエリアってあるじゃないですか。

姥捨山エリアとは、まさにそれです。

そんな姥捨山エリアについて、姥捨山たらしめる条件が以下の3点です。

1.営業所から遠すぎる

2.厄介な取引先が多過ぎる

3.自社のシェアが低すぎる

まさに、MSにとっては三重苦です。

現役のMSであれば、こんなエリアなんて誰もが担当したくないと思うことでしょう。

これでは自主的に辞めていくMSが絶えないのも理解できます。

では、ここから担当MSを苦しめる姥捨山エリアの労働環境について、より具体的に紹介していきます。

1.営業所から遠すぎる

担当エリアが営業所から遠いことによって、MSの身に何が起こるでしょうか?

まず移動のために、膨大な時間が必要となりますよね。

当然、移動に伴う運転中はPCを開いて内勤することなど不可能です。

もうこの時点で、他のMSよりもハンデを背負っていますよね。

さらに、移動時間が長いということは、長距離運転を強いられることを意味しています。

そんな長距離運転について、1日や2日だけならいざ知らず、毎日、毎週、毎月のように繰り返すのです。

しかも、私が知っている姥捨山エリアでは、営業所から最も近い取引先に行くだけでも、片道2時間を要します。

営業所から最も遠い取引先に至っては、片道3時間も掛かります。

しかも、その最も遠い取引先(病院)は中途半端に売上があるからタチが悪い。

中途半端に売上があるということは、多少なりとも急配や返品が発生することを意味しています。

 

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よって、担当MSにとっては嫌でも訪問しなければならない先なのです。

こういった事情により、MSとしては姥捨山エリアを担当する時点で、移動のためだけに往復4時間~6時間も割くことになるのです。

極めつけに、MSはMRとは異なり、遠方での営業活動のために現地宿泊することは原則NGです。

一介のMSが宿泊のために経費を使えるほど、医薬品卸の懐は温かくないのです。

 

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つまり、担当MSは往復で4時間~6時間もの道のりについて、日帰りで、なおかつ毎日のように運転することを強いられるのです。

これって、体力的にも精神的にもメチャクチャ辛いですよね。

これは当事者である後輩MS曰くですが、『運転だけ1日が終わってしまう』『気が狂いそうになった』とのことです。

そりゃそうです。

移動時間を考えたら、仮に17:00まで取引先への訪問活動をした場合、帰社したら19:00~20:00くらいになっているワケですからね。

こんな労働環境にも関わらず、他のMSと同じように内勤をこなして、なおかつ売上や利益をアップさせろと言われても、到底無理に決まっています。

どんなに優秀なMSであっても、疲弊して仕事に対するモチベーションを失うこと間違いナシです。

だからこそ、会社(上司)としては優秀なMSに姥捨山エリアを担当させるのではなく、何かと難ありなMS、あるいは辞めても問題ないMSに担当させているのでしょうね。

なるほど、これこそまさに姥捨山って感じです。(汗)

2.厄介な取引先が多過ぎる

MS目線で厄介な取引先の条件を考えたら、それこそキリがありません。

在庫管理が下手過ぎて、すぐに急配を頼んでくる病院。

何かと理由を付けて、購入代金の入金を遅らせてくる開業医。

期限切迫品であろうと、平気で返品依頼してくる調剤薬局。

こういった取引先が多ければ多いほど、担当MSとしては苦しむことになります。

そんな厄介な取引先ですが、先ほどからお伝えしている姥捨山エリアには、それはもう一癖も二癖もある取引先がひしめいていました。

毎日のように急配や返品の依頼が入るだとか、入金額が少ないがために幾度となく回収交渉をしたりだとか、そのくせMSに辛く当たるような取引先が多いだとか。

少なくとも、隣の営業所で働いていた私の耳にも入ってくるくらいには、悪名高い取引先が多数存在していたんですよね。

先述した運転時間と相まって、我儘な取引先に振り回されるなんて堪ったもんじゃないです。

担当MSにとっては、ただの地獄でしかない。

MSだって生身の人間です。

面倒くさい取引先への対応に追われれば、間違いなくストレスが溜まります。

しかも、そんな取引先のために何時間も運転して訪問するワケですからね。

もし優秀なMSが担当したとしても、こんなクソみたいな取引先ばかりでは、仕事のやる気が失せるってもんです。

これもまた、姥捨山エリアの悪しき特徴の1つです。

3.自社のシェアが低すぎる

営業所から遠すぎで訪問活動もままならず、売上を伸ばすことは至難の業。

やっとこさ訪問できたとしても、『遠い場所にある卸なんて必要ない』などと一蹴される始末。

そりゃそうです。

取引先が欲している薬について、素早く、効率よく、確実に届けてもらうのなら、近場の卸に注文を出すに限ります。

そもそも、取引先目線で考えたときに、片道2時間~3時間も掛かるような遠い場所にある卸から薬を買うメリットなんてありません。

納入価格が余程安いのならともかく、そういった価格面でのメリットを提示できない限り、遠方の取引先はまともに取り合ってくれないのです。

(※大体にして、MS個人の裁量で納入価格の下げるにしても限界がある。)

つまり、遠方の卸にとっては地の利が無いのです。

これもまた、姥捨山エリアの特徴の1つです。

こんな状況ですから、姥捨山エリアにおける自社シェアは他卸と比べて圧倒的に低いです。

その結果として、MRが非協力的になるという現象が起きます。

当たり前の話ですが、MRとしてはシェアが高い他卸のMSと一緒に仕事する方が良いに決まっています。

訪問活動すらロクに出来ない低シェア卸のMSなんて、MRからすれば手を組むに値しない存在です。

営業所から遠いだとか、急配や返品に振り回されるだとか、そんなMS側の事情なんてMRにとっては関係ないのです。

厳しいようですが、これが姥捨山エリアの現実です。

MRからの協力を得られない。

これはMSの営業活動において致命的です。

取引先への同行、説明会の開催、新薬の初動販売、その他諸々。

こういったMRが関わる”良い案件”は、全て他卸のMSが掻っ攫っていくのです。

これこそ、姥捨山エリアが”姥捨山”たる理由です。

MRとの共闘も、連携も、姥捨山エリアを担当しているMSにとっては縁遠い存在なのです。

こんな現実を目の当たりにして、MSとして仕事のモチベーションを保てるでしょうか?

少なくとも私には無理です。

当事者である後輩MSもやってられないと何十回、いや、何百回も言っていました。

このように、仕事への意欲を消失させるという意味で、姥捨山エリアはMSから忌み嫌われているのです。

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過酷な環境がMSの心身を蝕む

ここまで姥捨山エリアの”三重苦”について書いてきましたが…

このような苦しみを一身に受けて、それでもなお前向きでいられるMSが、日本全国で果たして何人いるでしょうか?

毎日の長距離運転によって、身体は疲労困憊。

厄介な取引先に振り回されて、精神的な疲れも溜まる一方。

MRとの共闘・連携も叶わず、MSの仕事における醍醐味なども一切ナシ。

こんな環境では、MSとして働くことに嫌気が差すに決まっています。

心身共に疲弊し、毎日をネガティブな気分で過ごすこと待ったなしです。

そんなネガティブ思考が強くなっていった結果として、異動や退職という言葉が、頭の中でチラつくようになるのでしょうね。

無理もない話です。

やがてMSは自主的な退職を決意する

私がMSとして働いていた5年間の中で、姥捨山エリアの担当MSは4回ほど代替わりしました。

5年で4回も担当者が変わるって相当ヤバいですよね。

ここまで担当MSがコロコロ変わるなんてことは、普通はあり得ません。

どんだけ過酷なエリアなんだよって話です。

さて、担当者が4回変わったということは、つまり私が知っているだけで4人のMSがいたワケですが…

そのうちの2人は、MSはおろか、医薬品卸自体を辞めています。

(※後輩MSを含めて、残り2人は内勤職へと異動しました。)

ここまで述べてきた通り、姥捨山エリアの辛さは半端じゃありません。

人づてに聞いたところによると、辞めた2人の退職理由とは『担当エリアを変えてもらえないから』『今の環境でMSとして働き続けるのは無理だから』とのことです。

あるいは、姥捨山エリアへと送り込んだ上司のことを許せなかったのでしょうか。

実際のところ、本当の退職理由は本人にしか分からないことですが…

少なくとも、姥捨山エリアの過酷さが退職を促したのは間違いないみたいです。

その証拠に、先述した2人は姥捨山エリアを担当してから1年以内に辞めていきましたからね。

私が思うにですが、余程辛かったのでしょう。

それも、退職することを決断するほどに…です。

誰にどう思われても構わないから、とにかく辞めたいという一心で、彼らは退職へと踏み切ったのではないでしょうか?

私自身もMSを辞めた人間ですので、彼らの気持ちはよく理解できます。

 

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その一方で、会社(上司)目線で考えると、辞めさせたい人間を辞めさせる際、姥捨山エリアは都合の良い存在です。

姥捨山エリアを担当させるだけで、MSが自分から音を上げて、辞めていってくれる可能性大なワケですからね。

これはもう、非公式なリストラと言っても過言じゃないです。

実際のところ、『姥捨山エリアを担当する』=『追い出し部屋に放り込まれる』という図式は誰の目にも明らかでした。

詰まるところ、姥捨山エリアを担当させられた時点で、MSとしての命運は尽きたとも言えます。

全く、恐ろしい話です。

まとめ:姥捨山エリアの担当になったらMSとしての進退を考えるべき…かも?

大きく分けて、MSが姥捨山エリアから抜け出す方法は二通りあります。

異動するか。

それとも辞めるか。

異動については、担当MS自身が、上司あるいは人事部に相談することが必要です。

そして上手くいけば、他の担当エリアに異動してMSとして返り咲いたり、内勤職へと異動することが出来ます。

(※私の後輩MSは上司に掛け合っても相手にされなかったので、人事部に相談して内勤へと異動した。)

でも、このやり方を選択しないMSもいるんですよね。

どうせ上司も人事部も、自分のことを助けちゃくれない。

だからかと言って、いつまでも姥捨山エリアに付き合うのは御免だ。

だったら、いっそ医薬品卸自体を辞めてしまおう。

そして、別の会社で再スタートすることに望みをかけよう。

こんな風に考えるMSもいるからこそ、姥捨山エリアでは一定数の退職者が出るのだと思います。

姥捨山エリアを担当して心身共に消耗し続けるくらいなら、さっさと辞めた方がマシってことなのでしょうね。

こういった進退を考えるのであれば、決断は早い方が良いに決まっています。

むしろ私個人としては、姥捨山エリアに見切りを付けて早々に辞めていったMSたちは賢いとさえ思います。

日本全国を見渡したとき、この記事で紹介したような姥捨山エリアがどれだけ存在しているか分かりませんが…

もしも姥捨山エリアの担当になってしまったら、MSとしての進退を問われていると考えた方が良いのかも知れませんね。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!



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