【筆者の実体験】就職活動で『王手病』に苦しんでいる学生に伝えたいこと

就職活動(学生向け)

こんにちは、アラサーMRのヒサシです。

私は学生時代、典型的な王手病の学生でした。

王手病とは、

俺(私)は王手企業にだけ興味があります!

中小企業には興味ありません!

…といった具合に、就職活動において大手企業にしか興味がない状態のことです。

私が就活していた頃は就職氷河期ということもあり、余計に王手企業への憧れと執着があったと思います。

しかし、今振り返ってみると、王手病は私の心身を蝕んでいたのだとつくづく思います。

20歳そこそこだった私は王手病だという自覚すらなく、ただただ苦しい就職活動をしていました。

そして意外と思うかも知れませんが、この苦しさは大手企業に就職した後も続きました。

今日はそんな私の過去のエピソードを通じて、就活生の皆さんに伝えたいことがあります。

王手病はあなたの視野を狭めます。

そして、どうか王手病という『見えない病』から脱却してほしい。

これが、この記事を通して皆さんに伝えたいことです。

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私は王手企業に就職したものの、それは新たな苦悩の始まりでもあった

私が新卒で入社したのは医薬品卸会社であり、なおかつ業界内では王手の大企業でした。

元々は製薬会社のMR(営業)志望でしたが、自分の力不足により就活の選考で落ちまくりました。

 

学生時代のMR就職活動 体験記①【MR全滅編】

就職活動(MR志望)のグループディスカッションで落ちまくった話

 

理想は王手製薬会社のMRとして内定を得ることでしたが、それは叶わなかったのです。

その後、製薬会社(MR)一本の就活スタイルを見直し、同じく医療業界の医薬品卸会社や医療機器会社の選考を受け始めました。

そして、製薬会社の選考で落ちまくった教訓を活かして、何とか王手医薬品卸のMS(営業)として内定を得ることができました。

今でも覚えているのですが、内定まで辿り着いたのは大学4年の6月30日でした。

私は大学3年の夏頃から就活を始めたので、実際には1年ほど就活していたことになります。

その約1年間、私は王手企業に入社することを目標に頑張ってきました。

就活初期の頃、大手製薬会社の選考が上手くいかなかった時期においては、他業界の中堅企業を狙うこともしてみましたが、やはり王手企業への拘りは捨てられなかったのです。

そのため、先述した王手医薬品卸から内定の連絡が来たとき、喜びと同時に満足感がありました。


これで自分も王手企業の一員になれるんだ!
周りの学生よりも良い企業への就職が決まったんだ!
王手企業で一生安泰な人生が待っている!

こんな風に心底喜びました。

今思えば、つくづく自分は馬鹿な学生だったと思います。

さて、その後私は王手医薬品卸に入社しましたが、残念ながらその会社には馴染めませんでした。

MSという仕事を好きになれなかったこと以外にも、王手企業であるが故に苦しむこともありました。

例えば、こんな感じです。


・大企業ゆえに仕事が細分化されていてやりにくい
・上司や先輩が大勢いて気を遣う
・上司の好き嫌いで部下の評価が決まる
・他部署が複数あって互いの歯車がかみ合わない
・営業所の半強制的な宴会やゴルフコンペが苦痛だった

大企業でなくてもこういった傾向の職場はあるでしょうが、私が入社した医薬品卸の会社はこんな感じでした。

特に40代~50代の上司軍団は酒やゴルフの付き合いを強制してくることもあり、彼らのことはどうしても好きになれませんでした。

(※とはいえ営業所によって違いはあると思いますが…。)

仕事のやりがいも見出せず、人間関係には疲れ、宴会やゴルフで出費がかさむ。

給料が特別高いわけでもなく、有休休暇もあってないようなものでした。

苦しい。

とにかく、苦しい。

学生時代に苦労してようやく王手企業に入ったのに、なぜこんなにも苦しいのか?

俺はこの会社で、あと何年こんなことを繰り返すのだろうか?

毎日毎日、こんなことを考えていました。

 

医薬品卸のMS(営業職)は激務なのか?元MSが解説します!

 

そして結局、医薬品卸のMSを辞めました。

今にして思えば、王手企業に期待しすぎていたのだと思います。

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なぜ自分は王手病になったのか?

さて、ここで少し学生時代の私の状況についてお伝えします。

当時の私は苦学生であり、奨学金を借りて何とか大学に通っているような状況でした。

もちろんアルバイトもしていましたが、理系学部ということもあって実験や研究を疎かにするわけにはいかず、『アルバイト』+『奨学金』で何とか食い繋いでいたのです。

実家の親についてですが、父親が交通事故で既に亡くなっていたので、なるべく母に負担を掛けないように、自分のことは自分で何とかすることを心掛けていました。

このような状況だったせいか、『』や『安定』というモノには人一倍の執着がありました。

 

奨学金の存在によってハングリー精神が鍛えられた体験談

学生時代に奨学金を借りていることがコンプレックスで性格が歪んでいった話

 

加えて、自分が苦しい経済状況であるせいか、経済的に恵まれている周囲の学生へのコンプレックスもありました。


とにかく周りの学生よりも良い会社に入ってやる!
その後はガンガン稼いで出世してやる!
奨学金なんて速攻で返済してやる!
母にも良い生活をさせてやる!
何が何でも、安定した生活を手に入れてやる!

こんな欲望めいた気持ちだけがありました。

これはこれで当時の私にとって強いモチベーションの源になりましたが、決して良い効果だけではありませんでした。

先ほどの欲望めいた執着心が、

大企業』=『稼げる』&『安定している

という認識を生み出し、その考えに凝り固まってしまったのです。

こうして、王手病の学生が1人誕生したというワケです。

今思えば、お恥ずかしい限りです。

王手病になるのは世間を知らない証拠である

就職活動では気合十分で臨んだものの、中々自分が思ったような成果は得られず、すごく焦ったことを覚えています。

そして、その焦りが自分の視野を狭めていたとも思います。

実際、大学の就職指導課でのES添削や面接練習の際、指導員のオジサンから何度か中小企業も受けてみることを勧められました。

しかし、私はその度に断りました。


僕は王手企業に行きたいのです!
中小企業なんて受けるつもりは一切ありません!
大手企業から内定を貰うための秘訣を教えてください!

こんな感じのことを、よく指導員のオジサンに言ったものです。

中小企業なんて』と言っている時点で、もうダメですよね。

中小企業の人々を見下していますし、それがどれだけ傲慢なことか今はよく分かるのですが、就活時の自分にそのような発想はありませんでした。

そして本命だった王手製薬会社の選考で落ち、中堅製薬会社をターゲットに切り替える過程でも葛藤がありました。


俺には王手企業に入る資格が無いのか?
中堅企業なんかにしか行けないのか?
どうして就活が上手くいかないんだ?

こんなことを何度も考えました。

ここでも『中堅企業なんか』と出てきましたが、本当に馬鹿で傲慢な学生だったと思います。

いかに当時の自分が王手病をこじらせていたか、よく分かります。

今にして思うのは、就活時の自分は世間知らずだったということです。

会社の規模、従業員数、平均年収などの上辺だけの数字でその企業のことを見ていたのです。

恥ずかしい話ですが、当時は業界地図や就職四季報などに目を通しただけで、その会社のことを理解した気になっていました。

もちろん、数字というのは大切な要素です。

ですが、会社というのは数字が全てではありません。

今このブログを運営している時点では、もう既に30代を迎えている身、世間の仕組みについては十分に理解しています。

しかし、就活時の自分はあまりに無知でした。

こんな体たらくでしたので、当時の自分にとっては王手企業であるかどうか『だけ』が重要でした。

王手病であるほど王手企業から落とされたときのダメージが大きい

繰り返しになりますが、私は王手企業のみならず、さらに規模が小さい会社の選考でも落ちまくりました。

その度に、私のプライドはズタズタになりました。

下の記事にある業界最王手の武田薬品を受けて落ちたのが良い例です。

 

学生時代のMR就職活動 体験記②【武田薬品工業編】

 

王手病真っ最中の学生が王手企業の選考を受けて落とされるものだから、自己嫌悪に陥るのは当然です。

しかも、中小希望の選考でも落ちていることがより拍車をかける。

そして、自分でも自覚がないまま、自分自身を追い込んでしまう。

王手企業に受からなかっただけで、自分がどうしようもなくダメな人間に思えてしまうのです。

まず平常心を失い、次に自信を失い、最後にやる気さえも失う。

これが王手病の怖いところですね。

それに加えて、私の場合は就活が上手くいかないストレスなのか、毎日腹痛が起きるようにまでなっていました。

リクルートスーツを着る度、選考に参加する度に腹が痛くなるときた。

 

ノバルティスの会社説明会を腹痛のため欠席したときの就活エピソード

 

つまり、王手病に心身を蝕まれていたということですね。

それでも、王手企業への拘りを捨てることができない。

もしろ、王手企業以外の会社に就職したら人生終了だというような強迫観念さえありました。

大袈裟だと思う方もいるかも知れませんが、全て実話です。

それくらい、当時の私にとって王手企業への就職は超重要事項だったのです。

あらゆる会社の選考で連敗を重ねた末、運良く王手医薬品卸への内定が決まりましたが、ここで内定が出なかったらさらに心身を病んでいたと思います。

 

医薬品卸のMS(営業職)として内定が出たときエピソードを紹介します!

 

とはいえ、医薬品卸に馴染めなかったのは既にお伝えした通りですので、一概にこれで良かったとも言い切れない部分はありますが…。

王手病の怖さについて身をもって知ることができたので、それはそれで、ある意味貴重な体験だったと思います。

小規模な製薬会社に転職してから考え方が大きく変わった

この記事の序盤で大手医薬品卸のMSを辞めたと書きましたが、その後は小規模な製薬会社のMR(営業)として働いてします。

そう、就活時の自分が忌み嫌った中小企業です。

売上も少なければ、社員数だって少ない。

しかし、私は今の会社、及び、職場環境を大変気に入っています。

元々がMR志望だったということもありますが、医薬品卸のMSだった頃に抱えていた悩みが殆ど払拭されました。

まず、中小企業ゆえに人数が少なく、仕事の裁量権が大きい。

これは自分のペースで自由に仕事を組み立てられるということです。

また、直行直帰の文化があり、職場関係の半強制的な宴会やゴルフなどがない。

評価は全て上司の好き嫌いなどではなく、数字(営業成果)で決まる。

MS時代と比べて給料も格段に良く、有給休暇も使えます。

下の記事に書いたように、年末年始、GW、お盆に長期休暇を取ることも可能です。

 

GWの時期になるとMS時代に休日当番で苦しんでいたことを思い出す

MRとMSとの違い②【休みやすさ編】

 

ハッキリ言って、前の職場とここまで違うとは思っていませんでした。

さらに驚いたのが、弊社は高学歴な人がやたら多いという点です。

東京大学、京都大学、北海道大学、九州大学、早慶などの一流大学の出身者が多い。

そして、そういった人たちはやはり頭が良い。

仕事の発想だけでなく生活の考え方まで、とにかく賢い。

話し方、仕事の進め方、身振り手振り等々、数えたらキリがありませんが真似したい所だらけです。

彼らは本も沢山読むし、人生を豊かにする術をいくつも知っているのです。

このような頭が良い人々と一緒に働くのはとても刺激的です。

中小企業は待遇が悪いだとか、低学歴な人間が多いだとか、そういった根拠のない考え方が180度変わったのです。

それと同時に、王手企業にだけ拘って中小企業を見下していた自分自身を改めて恥じました。

王手企業が自分に合っているとは限らない。

王手企業だからといって待遇が良いとは限らない。

そのことを実感するのと同時に、王手病によって自分がどれだけ苦しんでいたかを改めて知りました。

就活中も、内定が出た後も、そして就職後も、私は王手病によって振り回されていたのです。

正直な話、中小企業を見下すことで自分の自尊心を保とうとしていたのかも知れません。

本当にお恥ずかしい限りです。

ですが、こういった考え方ができるようになっただけでも、人間的に少しはマシになった気がします。

まとめ:王手病は学生の心を蝕むぞ!!

こんな記事を最後まで読んでくれた方は、おそらく就活中の学生さんに多いと思います。

どうか就活生の皆さんには、王手病に気を付けて頂きたいです。

もし確固たる理由があって王手企業を目指しているのであれば、別に問題ないでしょう。

安定志向であることも、それはそれで1つの考え方ですし、決して悪いことだとは思いません。

しかし、過去の私のようにコンプレックスの裏返しによって王手企業ばかりを狙っているとしたら、一度立ち止まってみた方が良いです。

そして、自分自身に問い掛けてみてください。

なぜ自分は王手企業を目指すのか?

本当に王手企業でなければダメなのか?

そもそも、自分は何のために就職するのか?

就活で行き詰ったら、自分自身をメンテナンスすることも必要です。

大手病は学生の目を曇らせ、耳を塞いでしまう怖い病気です。

王手企業にばかり拘って肝心なものを見失っては、元も子もありません。

それに、中小企業にも良い部分は山ほどあります。

今の私のように、中小企業で活き活きしているパターンだってあるのです。

どうか就活生の皆さんには大手企業だけに囚われず、中小企業も含めてあらゆる可能性を模索してほしいです。

陰ながら皆さんの就職活動の成功を祈っています!

頑張ってください!

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