スズケンからコロナ感染者が出たか…医薬品卸にとっての正念場か?

こんにちは、アラサーMRのヒサシです。

先日のミクスオンラインにスズケンからコロナ感染者が出たとの記事が出ましたね。

スズケン 大阪事務所で新型コロナ感染者を確認

いよいよ医薬品卸でも感染者が出たか…って感じです。

しかも、スズケンは医薬品業界における4大卸の一角です。

この記事は他の医薬品卸の人間にとっても衝撃的だったのではないでしょうか?

とはいえ、日本中でコロナ感染が広まっていますし、いつどこで医薬品卸の人間が感染しても全く不思議ではないのですが…。

さて、おさらいですが医薬品卸とは流通業であり、医薬品の安定供給を担っています。

極端な話、電気やガスと同じインフラ系の業種であり、私たちの生活には欠かせない存在です。

そんな医薬品卸ですが、緊急時にこそ底力を発揮する傾向があります。

実際、2019年の台風19号の災害時には各医薬品卸が様々な形で活躍しています。

台風19号による医薬品卸の災害対応について元MSが考察してみた

しかし、今回は少しばかり事情が異なります。

何しろ、今度の相手は未知のウイルスです。

コロナウイルスは医薬品卸にどのような形で影響(ダメージ)を与えるのか?

そして、医薬品卸はテレワークで感染リスクを減らせるのか?

その辺りの事情について、元MSの視点から記事を書いてみました。




医薬品卸の感染リスクは他業種よりも高い


医薬品卸で働いている人間は大きく4タイプに分けられます。


・営業(MS)

・配送

・事務

・倉庫係


このうち、営業と配送は常日頃から医療機関を訪問しています。

特に、医薬品の配送は彼らにとって必須業務です。

(※多くの場合、医薬品卸では営業の人間も配送に駆り出されてます。)

何しろ、彼らが医薬品を医療機関に届けなければ、患者に投薬することはできません。

ですから、文字通りですが『物理的に薬を届ける人間』がどうしても必要なのです。

しかし、コロナウイルスが蔓延している状況下では、この医薬品の配送が仇になります。

医療機関とは病人が集まる場所です。

その中には当然、コロナ感染者も含まれているでしょう。

その一方で、医療従事者がコロナに感染している可能性もある。

ニュースでも毎日のように報じられていますが、コロナの厄介なところは感染していても自覚症状が乏しいという点です。

つまり、本当はコロナに感染しているにも関わらず、その自覚がないまま別の病気治療のために医療機関に来る患者は山ほどいます。

その余波で、医療従事者が知らない間に感染してしまう可能性は十分にある。

そんな環境に医薬品卸の営業・配送は毎日のように足を運んでいるのです。

これは即ち、他業種よりも高い感染リスクに晒されているとも言えます。

加えて、営業の人間は集金や返品処理などの業務も並行して行っています。

つまり、彼らが医療機関を訪問し、自覚の無いままコロナに感染してしまっても決して不思議ではないのです。

事務や倉庫係も安心できない


営業・配送が帰社するということは、多かれ少なかれ事務・倉庫係と濃厚接触するということを意味しています。

例えば、伝票や返品の受け渡しなどがあります。

まず、伝票について考えてみましょう。

ペーパーレス化を推進している会社・営業所なら良いのでしょうが、多くの医薬品卸は紙ベースの仕事をしています。

営業・配送が伝票にハンコをもらう際、原則として取引先の人間から面前で押印してもらいます。

つまり医療従事者と『濃厚接触』するワケですから、そのタイミングで伝票にウイルスが付着する可能性はゼロじゃない。

一方で、返品についてはどうでしょうか?

多くの営業(MS)が忌み嫌う返品業務ですが、この状況ではより一層リスクの高い業務と化しています。

返品とは必ず物理的に運ぶ必要がありますから、その際にどうしても手で触れる必要があります。

ましてや、返品とは病院や薬局の棚で使われずに放置されていたモノです。

そういったモノにコロナ感染者の飛沫などを通じてウイルスが付着している可能性もゼロではない。

しかも、返品とは腐っても『商品』ですから、気軽にアルコール液を噴霧して消毒することもできない。

ある意味、『返品』とは腫れもののような存在なのです。

さて、そんな伝票や返品ですが、医薬品卸内では内勤職にとっても無視できない存在です。

もし営業・配送が触れた伝票や返品にコロナウイルスが付着していたとしたら?

そういった伝票や返品に事務・倉庫係が触れてしまったとしたら?

そう考えると、やはり内勤職にとっても感染リスクは否めないでしょう。

事務・倉庫係といった外勤をしない職種であっても、決して安全とは言い切れないのです。

医薬品卸のテレワークは不可能である


繰り返しになりますが、医薬品卸は流通業です。

つまり、日々の業務の中で『モノ』や『カネ』を物理的に扱う要素があるのです。

先ほどは医薬品の配送、伝票処理、返品処理などを例に挙げてみましたが、それ以外にも医薬品卸の人間が物理的に行う仕事は数多くあります。

医薬品の梱包。

金庫の管理。

新しい伝票の印刷。

営業所での電話対応。

会社専用の端末を使っての注文入力。

自宅にPCと携帯電話があれば出来るような仕事ばかりではないのです。

電話対応や注文入力くらいなら、工夫次第でテレワーク化することも可能かも知れません。

しかし、それ以外の業務では難しいでしょう。

『モノ』や『カネ』とは、誰か手によって物理的に管理・運用する必要があります。

そして、そういった業務は会社(営業所)でなければ行うことができない。

この前提で考えると、医薬品卸におけるテレワークは不可能なのです。

仮にテレワーク化できる方法があるとしても、すぐには実現できない。

社外で『モノ』や『カネ』を扱うとしたら、簡単には越えられないハードルが山ほどあるからです。

紛失のリスクをどうするのか?

情報漏洩のリスクをどうするのか?

不備があった場合に、誰がどうやって責任を取るのか?

こういった事情を考えたらキリがありませんが、医薬品卸がテレワークに向かない業種なのは間違いないでしょう。

まとめ:まさに今が医薬品卸の正念場である


ミクスオンラインの記事では、コロナ感染が確認された大阪営業所では閉鎖されることなく継続営業しています。

理由としては、

『他の出勤者に体調不良者がいない』

『日頃からマスクを着用して業務を行っている』

『エリアの消毒が終了している』

…ということが挙げられています。

こういった記事を医療機関側はどういった目で見ているのか?

数の中には、冷たい目で見てくる医療機関がいるのでないでしょうか。

ハッキリ言って、現実は甘くないと思います。

事実はどうであれ、多少なりとも風評被害はあるのではないでしょうか?

コロナ感染の疑いがあるなら、当分の間、お宅の会社の人間はウチに来ないでほしい。

コロナが収束するまでは、他の医薬品卸から薬を買うようにしたい。

こんなことを言い出す医療機関が現れても不思議ではありません。

極端な話、スズケンであろうとなかろうと、医療機関側としては医薬品を安定供給してくれる業者がいれば良いのです。

スズケンがダメなら、他の医薬品卸に薬の発注を出して届けてもらえば良い。

医療機関の目線で考えれば当然の理屈です。

とはいえ、他の医薬品卸も油断は禁物です。

今回はスズケンのことが報じられましたが、今後は他の医薬品卸からもコロナ感染者は出てくるでしょう。

業績面でも健康面でも、医薬品卸にとって正念場なのは間違いありません。

元MSとして、古巣である医薬品卸が危機に陥っているのは複雑な思いです。

1日も早く事態の収束を願うばかりです。






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