ゾルゲンスマの国内流通はスズケンが受託!スペシャリティ医薬品に特化したビジネスの真骨頂か?

こんにちは、アラサーMRのヒサシです。

5月20日にノバルティスの『ゾルゲンスマ点滴静注』が発売しましたね。

ゾルゲンスマやビルテプソなど5製品が発売 エンハーツは5月25日発売予定

適応は『脊髄性筋萎縮症(ただし条件付き)』であり、薬価は驚愕の1患者辺り『1億6707万7222円』です。

ご覧の通り、凄まじい薬価ですね。

2019年に発売したCAR-T療法に使うキムリアの薬価も凄かったですが、今回のゾルゲンスマは最早比較にならないレベルです。

そこら辺で働いている大人たちの生涯賃金か?

…ってくらいの金額です。

ゾルゲンスマが高薬価で発売されるであろうことは以前から業界内でも話題となっていました。

その一方で、元MSである私は『ゾルゲンスマの流通はどこの卸が担うのか?』ということにも興味がありました。

そして、去年発売のキムリア流通をスズケンが受託したことから、おそらくゾルゲンスマの取扱い卸はスズケンになるでは?…と踏んでいました。

ノバルティスの『キムリア』はスズケン1社流通!この戦略の意味とは?

そしたら、案の定の結果でした。

やはりスズケンは私の予想を裏切りませんでした。

そこで、今日はスズケンとゾルゲンスマ(スペシャリティ医薬品)に関して思ったことを書いていこうと思います。




スズケンの売上・利益への貢献度は計り知れない


当たり前の話ですが、スズケンにとってゾルゲンスマのようなスペシャリティ医薬品を1社独占で流通させられるのは凄まじいアドバンテージです。

ゾルゲンスマ納入時の利益計算がどのようにされるのかは分かりませんが、1億6707万7222円という薬価のうち、スズケン社内での粗利益率を1%と仮定しても、軽く『160万円超』の粗利益額が発生します。

MS経験のある方ならお分かりだと思いますが、医薬品卸のような薄利多売のビジネスで160万もの利益を生み出すのはメチャクチャ大変です。

まず、医薬品卸にとって一般的に大口先とされる開業医・調剤薬局ですら、月々の売上が1,000万円を超えれば御の字です。

ちなみにですが、MSにとって売上が1軒で1,000万円あるというのは凄いことです。

MSが自力で取引先の売上を1,000万円にするとしたら、並大抵の努力じゃ足りません。

実力に加えて運もある程度は必要になってきます。

それが医薬品卸(MS)にとっての『売上1,000万円』です。

さて、その売上1,000万円のうち、粗利益率5%と仮定したとしても、粗利額は『50万円』です。

こういった事実を考えると、ゾルゲンスマをスズケン1社で販売することの凄まじさが身に染みて分かります。

もちろん、ゾルゲンスマの流通に関しては、先ほど私が書いたような単純な利益計算がされるというワケではないでしょう。

それでもなお、ゾルゲンスマがスズケンにもたらす売上・利益は計り知れないものがあります。

当然のことながら、現場のMSレベルではどうひっくり返ってもゾルゲンスマの帳合を覆すことはできません。

スズケン以外の医薬品卸はゾルゲンスマを扱いたくても扱えないのです。

つまり、1億円超の薬剤が納入されていく様を見ても、他卸のMSは指を咥えて見ていることしかできない。

文字通り、手も足も出ないのです。

このゾルゲンスマの一件で、医薬品卸の中では完全にスズケンが頭一つ抜け出した感じすらします。

スペシャリティ医薬品を扱うノウハウは侮れない


医薬品卸は各社ともに生き残りを賭けて、様々な方策を打ち出してきました。

そんな中で、スズケンは以前からスペシャリティ医薬品の取扱いに関して注力してきました。

スズケンは武田薬品系の薬剤を扱えませんから、その分だけアルフレッサ・メディセオに対して不利とも言えます。

しかし、スズケンはその不利を承知していたからこそ、敢えてスペシャリティ医薬品の流通を独占できるように舵取りをしてきました。

つまり、アルフレッサ・メディセオとは違う土俵で勝負する道を選んだというワケですね。

その成果が今、目に見えて現れてきている。

ゾルゲンスマやキムリアだけでなく、5月20日に薬価収載された日本セルヴィエの『オニバイド点滴静注43mg』もスズケン1社流通です。

ライバル卸と直接競争するための方法ではなく、競争相手そのものをビジネスの土俵から排除するという戦略はまさに正解だったと言えるでしょう。

スズケンは何年も前からスペシャリティ医薬品が業界でのトレンドとなることを見越していた。

徐々に、そして確実にスペシャリティ医薬品の流通経路を自社に集中させ、キムリアやゾルゲンスマのような『大物』が現れる日に備えてきた。

その戦略が、まさに大当たりしている。

そして、スペシャリティ医薬品が発売する度にノウハウが蓄積され、新たな信頼と実績に繋がっていく。

その流れが、次のスペシャリティ医薬品の受託案件を呼び込む。

これはスズケンにとっては他卸に対する防御であり、同時に攻撃でもあるワケです。

今後もスペシャリティ医薬品の流通争奪戦に関して、スズケンが有利であることは間違いなさそうです。

まとめ:スズケンが医薬品卸のトップに立つ日が来る?


4大卸の中で、今のところスズケンは3番手に位置しています。

ただし、直近の数年間を含めて『スズケンが2位に浮上するのでは?』と囁かれたことは何度かあります。

そんな中で、今回のゾルゲンスマが起爆剤となり、将来的には2位どころか1位だって狙えるポテンシャルが見えてきました。

スズケンがアルフレッサ・メディセオを超える日が来る可能性は十分にあると思います。

アルフレッサ・メディセオからすれば武田薬品系の薬剤を扱えるのは確かにアドバンテージですが、後発品使用促進が進む中では、武田薬品の威光も昔ほどは強くないように感じます。

実際、武田薬品のブロックバスターであったブロプレスなどは急速に後発品へと切替が進みました。

そう考えると、ここ数年間でのアルフレッサ・メディセオにおける『武田薬品』という要素は、スズケンの『スペシャリティ医薬品』という要素の前では霞んで見えてしまう。

少なくとも、私にとってそう思えるくらいにはスズケンに勢いがあり、将来性があるビジネスをしているように見えます。

昨今はどこの製薬会社も研究・開発・営業など様々な面でプライマリー領域からスペシャリティ領域へとシフトしています。

この流れがある限り、今後益々スズケンが儲かるのは目に見えています。

医薬品卸の勢力図が塗り替わる日は、案外近いのかも知れませんね。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!





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