【2020年上半期】コロナ禍における4大卸の収益力について分析してみる!

こんにちは、アラサーMRのヒサシです。

この記事を書いているのは11月下旬の3連休ですが、我が家では新型コロナが流行している状況を鑑みて、遠出はしないことに決定しました。

ぶっちゃけ暇です。

…というワケで、本日は暇人ながら以前から気になっていたことを分析してみようと思います。

ずばり、今回の記事のテーマは大手医薬品卸4社(通称:4大卸)の収益力です!

少し前にブログ内で4大卸における2020年上半期の決算状況について記事を書きました。

大手医薬品卸4社の営業利益率がヤバい!コロナ禍・仕切価上昇・価格競争の影響が深刻すぎる!

4社とも営業利益が大幅ダウンしていますが、今回はさらにもう一歩踏み込んで分析してみようと思います。

…と言いますのも、たまにですがブログの問い合わせフォームを通じてMSに内定している学生さんや、転職を考えている若手のMSさんから質問をいただくことがあります。

質問をくれた人には直接メールにて私なりの回答を送るなり、質問&回答を記事化するという形でお答えしたりしています。

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このブログを開設して以降、医薬品卸の現状や将来性について知りたがっている人が一定数いることが分かってきました。

そこで、今回は私自身の勉強も兼ねて、4大卸の決算データを通じて現状や将来性などについて分析してみようと思います!




4大卸の決算データを振り返る


今回の記事で取り上げているのは4大卸の2020年上半期(4月~9月)の決算結果です。

まさに、コロナ禍に陥った時期と完全に被っている期間ですね。

4大卸の決算結果は日刊薬業・RISFAX・ミクスなどの業界誌にも掲載されましたが、今回は4社のホームページに記載されている決算資料にも目を通しました。

その内容を一覧にまとめたものがこちらです。

会社名 売上高 売上総利益額 販管費 営業利益額
アルフレッサHD 1,135,654,000,000 60,389,000,000 54,415,000,000 5,973,000,000
メディパルHD 1,030,400,000,000 61,500,000,000 57,900,000,000 3,500,000,000
スズケン 999,740,000,000 51,702,000,000 51,882,000,000 -179,000,000
東邦HD 572,708,000,000 32,731,000,000 30,886,000,000 1,844,000,000

補足ですが、アルフレッサHDとメディパルHDについては『医療用医薬品等卸売事業』の数字、スズケンと東邦HDは『医薬品卸売事業』の数字を用いて計算しています。

4社とも連結の決算書には関連会社・子会社などの実績も含まれていますから、今回はあくまで医薬品の卸売事業についてのみデータを抜き出しています。

さらに、会社の決算資料によって表記が億単位または百万単位だったりしてバラバラなので、4社を比較するにあたって1円単位まで記載してみました。

ご覧の通り、売上高はアルフレッサメディセオスズケン東邦です

しかし、会社というのは単に売上が高ければ良いというワケではありません。

売上が高額な会社ほど世間からは評価されがちですが、私はそうは思いません。

売上高ばかりを注視して、利益を軽視してはいけません。

会社とは、利益を出すために存在しています。

社会への貢献、顧客への貢献はもちろん大切です。

とはいえ、会社とはボランティア団体ではなく営利団体です。

ですから、売上高に対する利益の比率はとても重要なのです。

その前提で考えてみると、同じくらいの売上高であれば利益額が多い方、同じくらいの利益額であれば売上高が低いほど収益力が高いと言えます。

よって、収益力が優れている』=『より少ない売上で、より大きな利益を稼げる状態と考えるべきです。

そういった意味では、収益力に長けている医薬品卸はどこの会社なのか?

コロナ禍において相対的に良い結果を残した会社はどこか?

その点について、より深く掘り下げていきたいと思います。

売上総利益率のトップはメディセオ、最下位はスズケン!


まずは売上総利益率について考えてみます。

この売上総利益率とは、以下の計算式で求めることが出来ます。

売上総利益率(%)】=【売上総利益(円)】÷【売上高(円)】×100

平たく言えば高ければ高いほど良い数値であり、会社としていかに多くの利益を稼いでいるかの指標となります。

さて、おさらいですが売上総利益とは利益の大元です。

医薬品卸であれば、一次売差リベートアローアンスなどによって稼いだ利益金額を合算したものですね。

そんな売上総利益率ですが、4大卸について計算するとこんな感じです。

会社名 売上総利益率
アルフレッサHD 5.32%
メディパルHD 5.97%
スズケン 5.17%
東邦HD 5.72%

ご覧の通りトップはメディセオであり、最下位はスズケンでした。

念のため補足ですが、この売上総利益率が低い卸が一概に安売りしているワケではありません。

もし仮に全国各地で薬を安売りして一次売差がマイナスになったとしても、それをカバーできるだけのリベートやアローアンスがあれば数値上は高くなります。

よって、メディセオが高値で薬を卸している、あるいはスズケンが安値で薬を卸しているとは言い切れないのです。

とはいえ、最下位のスズケンに関しては一次売差・リベート・アローアンスの何れか、あるはその全てが不調だったことは否めない結果です。

少なくとも、このデータからはスズケンが他の3社よりも不調だったことが読み取れます。

販管費率はアルフレッサの一人勝ち!


販管費(はんかんひ)の正式名称は販売費及び一般管理費です。

販管費には社員の人件費、出張などに伴う旅費、社内ネットワークの通信費用、各営業所における電気代やガス代、コピー用紙やボールペンといった消耗品の費用など、色々なものがここに含まれます。

一言でまとめると、会社が企業活動を行うために要したコストですね。

そのため、会社としては低ければ低いほど良い数値であり、そしてコストパフォーマンスの良し悪しを測るための指標にもなります。

とにかく、販管費を削減せよ!

無駄な経費を使うな!

…などと口を酸っぱくして指示されている現場社員の人も多いのではないでしょうか?

さて、販管費率とは、以下の計算式で求めることが出来ます。

販管費率(%)】=【販管費(円)】÷【売上高(円)】×100

そんな販管費率ですが、4大卸について計算するとこんな感じです。

会社名 販管費率
アルフレッサHD 4.79%
メディパルHD 5.62%
スズケン 5.19%
東邦HD 5.39%

ご覧の通り最も低いのはアルフレッサであり、最も高いのはメディセオでした。

つまり、極端なことを言うとアルフレッサはコスパが良いビジネスを行っており、メディセオはコスパが悪いビジネスを行っていると言えます。

4大卸の中では唯一、アルフレッサだけが販管費率4%台です。

売上高がトップかつ販管費率が最低値ということは、それだけアルフレッサがコストパフォーマンスに優れた企業活動を行っていることを意味しています。

売上高だけを見るとアルフレッサとメディセオの差は1000億円ほどありますが、コスト面を精査していくと、また違った見方が出来ますね。

さて、先ほど売上総利益率について計算してみましたが、メディセオは多くの利益を稼いでいる反面、そのうちの大部分を販管費に費やしています。

さらに、メディセオは4大卸の中では特に給料が良いと言われていますから、その辺りも販管費率に影響していそうです。

もしかすると、この販管費率を改善するためにメディセオはリストラに踏み切ったのかも知れませんね。

メディセオが希望退職者を募集!製薬メーカー数社との取引中止が関係しているのか?

業績の良し悪しに関わらず、会社目線だと社員はコスト以外の何物でもありません。

多くの社員がいれば、その分だけ給料を沢山支払う必要がありますし、福利厚生についての費用も馬鹿になりません。

医薬品卸に限った話ではありませんが、会社にとってコスト削減は永遠のテーマです。

こうやって色々な数字を並べてみることで、良くも悪くもコストの重要性が分かりますね。

営業利益率のトップはアルフレッサ、最下位はスズケン!


営業利益率については下の記事に詳しく記載していますので、今回は要点だけ書かせてもらいます。

大手医薬品卸4社の営業利益率がヤバい!コロナ禍・仕切価上昇・価格競争の影響が深刻すぎる!

営業利益とは、会社の本業における利益です。

なお、営業利益の金額とは売上高から販管費を引いて算出します。

そのため、営業利益率が高い会社ほど利益効率の良いビジネスを行っていると言えます。

そんな営業利益率について、4大卸のデータを並べてみました。

会社名 営業利益率
アルフレッサHD 0.53%
メディパルHD 0.34%
スズケン -0.02%
東邦HD 0.32%

ご覧の通り、トップはアルフレッサであり、最下位はスズケンです。

先ほど販管費率を計算した際に、アルフレッサはコストを抑えて企業活動をしていると書きましたが、その効率の良さが営業利益率にも反映いることが窺えます。

一方で、スズケンは営業利益率がマイナスです。

これは平たく言うと赤字という意味です。

決算の数字だけを見ると、売上総利益率が伸びなかったことが直接的な原因と考えられます。

販管費率自体はアルフレッサとメディセオの中間くらいですし、相対的に見ると4大卸の中でのコストパフォーマンスは特段悪いようには見えません。

よって、やはり売上総利益率が伸びなかったことによるダメージが大きかったことが窺えます。

ちなみにスズケンの決算資料に目を通した際、医薬品卸卸売事業の通期予想(2020年4月~2021年3月)での営業利益率は0.05%と記載されていましたが、ここから黒字に転じるための一手があるのでしょうか?

個人的には気になるところです。

まとめ:収益力の総合バランスではアルフレッサが№1か!?


この記事の冒頭で収益力が優れているより少ない売上で、より大きな利益を稼げる状態と書きました。

ですが、4社とも同じくらいの数値があまりなくて、思った以上に直接比較が難しいことが分かりました。(汗)

取りあえず、売上が高くて、しっかりと利益を確保していて、コストを抑えて、なおかつ効率良い企業活動をしている…という観点で考えると、アルフレッサが№1なのかなと感じました。

少なくとも、コロナ禍に突入した2020年上半期(4月~9月)においては、4社の中では最も堅調な業績を叩き出していると言って良さそうです。

実際にアルフレッサで働いている人たちが何と言うかは分かりませんが、4大卸の中では相対的に最もバランスの取れている収益数字であることは間違いないです。

ちなみに、こういった会社分析とは資本や負債なども含めて考えた方が良いとされています。

若手MSにお勧めしたい決算書に関する書籍2選!若いうちに決算書を読む力を身に付けよう!

しかしながら、決算書の中から4大卸の資本・負債など分析するとなると、関連会社の数字も込みで考えないといけません。

(※例えば、アルフレッサHDの場合はアルフレッサ本体(医療用医薬品等卸売事業)だけでなく、アルフレッサファーマ(医薬品等製造事業)などを含めて考える必要あり)

流石にそこまで分析するとなると面倒くさいので止めました。(汗)

ですが、医薬品卸売事業については4大卸の傾向などがそれなりに分かったので、私としても勉強になりました。

MR目線だと医薬品卸はどこも一緒に見えてしまうものですが、こうやって4社の決算資料などを読み込んでみると、各社が色々な戦略を打ち出していることが分かります。

コスト戦略も違うし、成長戦略も違う。

まさに、4社間で互いに差別化を図ろうとしていることが窺えます。

今回はコロナ禍の連休で暇を持て余したことでこのような分析をしてみましたが、2021年の春に4社の通期結果が分かった際には、改めて決算データの分析をしてみるのも良いかも知れません。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!






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