ギリアド社のレムデシビルが発売されたら流通はスズケン・東邦薬品の2社で行うのか?

こんにちは、アラサーMRのヒサシです。

先日、ギリアド社のレムデシビル(商品名:ベクルリー点滴静注液100 mg、同点滴静注用100 mg)が特例承認されました。

5月4日に申請して5月7日に承認というスピード決着でしたが、それだけ国も必死なのでしょうね。

さて、このレムデシビルはギリアド社の薬剤です。

そして、ギリアド社は取引卸をスズケン・東邦薬品の2社に集約している会社です。

順当に行くならハーボニーやソバルディ同じく、レムデシビルもスズケン・東邦薬品を介して医療機関に届けられそうですが、今回は国難とも呼ぶべき状況です。

ミクスオンラインの記事によると、レムデシビルは国が供給を管理する』『当面は薬価収載せずに流通すると報じられています。

厚労省 レムデシビル承認後は国が管理、医療機関に配分 きょうの薬食審第二部会で審議、特例承認へ

【特別版】中医協総会 無償提供の新型コロナ治療薬ベクルリー 保険診療との併用認める

…と言うことは、少なくとも直近ではスズケン・東邦薬品の出る幕が無いとの見方もできます。

しかし、数年後に新型コロナウイルス状況が落ち着き、普通のインフルエンザのように治療法が確立した後はどうでしょうか?

その時こそ、スズケン・東邦薬品の2社が全面的に流通を担うのでしょうか?

しかし、場合によってはアルフレッサやメディセオ、地方の地場卸がレムデシビルを扱う可能性もゼロではないと思います。

後々のことを考えて、ギリアド社はどのような判断をするのか?

スズケン・東邦薬品はどのように動くのか?

元MSとしては気になるところです。




ギリアドは取引卸を増やしたくないはず


これは私の勝手は想像ですが、ギリアド側としては取引卸を増やしたくないのでは?と考えています。

これはあくまでコロナウイルス蔓延という要素を抜きにして考えた場合ですが、スズケン・東邦薬品以外の医薬品卸にレムデシビルを送品するだけでも結構な手間だと思うのです。

仮にギリアドがスズケン・東邦薬品以外の医薬品卸にレムデシビルを卸すとなったらどうなるでしょうか?

まず、各卸ごとにレムデシビルの送品頻度やリベートの設定・運用などの話を詰める必要があります。

ハッキリ言って、ギリアド側からしたら面倒なだけの仕事に違いありません。

私がギリアドの人間だったら今まで通りスズケン・東邦薬品に流通を任せておきたいです。

ギリアド側がどのくらいスズケン・東邦薬品を信頼しているかは分かりませんが、4大卸の中の2社ですから、少なくとも流通面に関しては多かれ少なかれ評価しているはず。

むしろ、他の卸がしゃしゃり出てこないように上手くやってくれるはずだと忖度している可能性もあるんじゃないでしょうか。

逆に、アルフレッサ・メディセオ・地場卸としてはこの機会にギリアドの薬剤を扱えるような契約を結べば、医療機関に対して存在感を発揮できます。

同時に、スズケン・東邦薬品による独占ルートを減らすことに成功すれば、ある意味ではライバル卸への攻撃も狙えるわけです。

スズケン・東邦薬品は武田薬品系の薬剤を扱えない反面、こういったスペシャリティ薬の流通網を鍛えることでアルフレッサ・メディセオに対抗しようとしてきた側面があります。

特にスズケンに関してはスペシャリティ薬の取扱いに関しては業界随一だと思います。

2019年に発売したノバルティスのキムリアに関しても、スズケン1社流通になったのはスペシャリティ薬への特化スタイルが評価されてのことでしょう。

ノバルティスの『キムリア』はスズケン1社流通!この戦略の意味とは?

しかし、今回ばかりはどんな目が出るか分からない雲行きになってきました。

不謹慎な表現ですが、スズケン・東邦薬品にとっては流通上のピンチであり、アルフレッサ・メディセオ・その他の卸にとってはチャンスとも言える局面ではないでしょうか。

スズケン・東邦薬品と取引がない施設はどうなる?


4大卸といえども全国全ての医療機関と取引があるワケではありません。

スズケン・東邦薬品の2社のみに限定するとなれば尚更です。

例えば、コロナウイルス患者が入院していて、かつスズケン・東邦薬品と取引がないような病院は確実に存在します。

そんな場合、果たして誰が・いつ・どうやってレムデシビルを病院へと届けるのか?

繰り返しになりますが、直近では国がレムデシビルの供給をコントロールすることになります。

(現時点では、具体的に何をどうするかは不明ですが…。)

では、後々レムデシビルの流通に関して国が手を引いた場合はどうか?

病院側としてはスズケン・東邦薬品と取引をスタートするのが最も無難な選択でしょう。

しかし、一言で取引スタートと言っても一朝一夕で出来るような話ではありません。

書面での契約内容を病院・卸間で確認し、関係各所から印鑑をもらい、卸内では口座開設の手続きをして…といった具合に、新規取引に先立って行うことは山ほどあります。

そうこうしている間に患者の容体が急変したらどうするつもりなのか?

契約云々の話でレムデシビルの納入が遅れてしまい、その結果として助けられるはずの患者が亡くなってしまった…なんて結末になったら最悪です。

私が患者の家族だとしたら、きっと一生かけて病院と卸を憎むと思います。

まあ、そんな最悪のシナリオとならないようにギリアド・スズケン・東邦薬品、そして病院との間で前もって色々な協議がされるのでしょうけど、果たしてどうなるか。

2次卸であるアルフレッサ・メディセオなどにスズケン・東邦薬品がレムデシビルを卸すという流通ルートもアリですが、それも何だかんだで伝票上の処理に時間が掛かりそうです。

私も元々MSをやっていたので分かるのですが、こういった局面では卸同士でのメンツ争いが発生することが多いです。

A病院はウチの得意先だ!

他の卸の出る幕じゃない!

だとか、

B病院を仕切っているのはウチだ!

B病院に薬を卸したいメーカーはまずウチに話を通すべきだ!

…という感じです。

レムデシビルは患者の生死に関わる薬ですから、流石にそういった謎のメンツ争いはないとは思いますが…。

むしろ、レムデシビルを巡ってメンツ争いをするようなら人間としてどうなの?…とも思います。

まとめ:ギリアド・スズケン・東邦薬品の動向に要注目


まさかレムデシビルがここまで注目されるなんて、ギリアド側も予想外だったことでしょう。

ギリアドと取引しているスズケン・東邦薬品も今回の件については驚いているに違いありません。

3社とも、この国難さえも利用して企業の名を上げるのか?

それとも、利益を度外視して完全な裏方に徹するのか?

そして、スズケン・東邦薬品に対して良い感情を持たないライバル卸たちはどう動くのか?

医薬品卸は生き残りを賭けて日々競争をしている間柄ですから、何らかの形で一悶着あっても不思議ではありません。

レムデシビルに限った話ではありませんが、医薬品卸はスペシャリティ薬の独占流通権を得るために血眼になっています。

卸間の競争は大いに結構ですが、薬とは生命関連商品です。

人命が関わっている以上、モラルだけは忘れないでほしいと思います。

取りあえず、レムデシビルの流通に関しては今後も注意して見ていこうと思います。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!





シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする