現役MRの本音…コロナ禍での訪問活動について葛藤を抱えている話

MRの仕事

こんにちは、アラサーMRのヒサシです。

この記事を書いているのは2022年の7月下旬ですが、連日のようにコロナ陽性者が増えている状況です。

7月23日には、全国で20万人もの新規陽性者が出たと報じられました。

20万人と言えば、私が生まれ育った田舎町の人口を遥かに上回る人数です。

ヒサシ
ヒサシ

あまりにも数字がデカすぎて、最近はピンと来ない事も多いです…(汗)

私の同僚MR・親戚・友人知人の中からも、コロナに罹患した人が現れ始めています。

それ以外だと、結果的にコロナ陰性ではあったけど、医療機関(発熱外来など)を中々受診できずに困り果てた人たちもチラホラ。

もうマジで明日は我が身だと思うことも増えてきました。

そんな状況の中、依然として製薬会社のMRは医療機関への訪問活動を行っています。

(※会社によって、外勤への取り組み具合は異なると思いますが。)

人流を減らす』=『医療従事者の感染リスクを下げるという観点から考えれば、これは悪手だと言えるでしょう。

…とはいえ、MRとて会社員です。

会社から訪問活動しろと言われれば、その指示に従う義務があります。

ましてや、自社医薬品の適正使用推進に努めるのがMRの責務でもありますし。

大体にして、自分はMRとして働くことで会社から給料を貰い、メシを食べ、家族を養っているので。

…というワケで、私なんかは以前と変わらず外勤を行っています。

ヒサシ
ヒサシ

もちろん、出来る限りオンライン面談を活用するようにはしていますけどね!

しかしながら…

こんなコロナ禍の真っ最中に外勤することが、果たして正しい行為なのだろうか?

医療従事者に“直接”会うことが、本当に正しいことなのか?

どれだけ感染対策を頑張ったところで、自分も相手も生身の人間である以上、感染するリスク&感染させるリスクはあるワケでして。

MRとして真に正しい行為とは何なのか、ぶっちゃけ自分でも分からなくなってきました。

MRとしての自分は会社からの指示なんだからガンガン直接訪問すれば良い!と言っている。

MRではない部分の自分はこの状況で直接訪問するのは社会的な道理に反するのではないか?と言っている。

どちらの声に従うのが正しいのか、自分には分からない。

つまり、1人でウダウダと考え込んで、葛藤しているワケです。

まあ、何だかんだ言って私はMRとしての業務を優先して、今までと変わらない訪問活動を行っています。

ただ、そこには釈然としてない感情が付随してくるのも事実です。

そこで、この記事ではコロナ禍での訪問活動というテーマでMRとしての心情を綴ってみました。

『こんな事を考えているMRもいるんだな~』くらいの感じで読んでやって下さい。

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コロナ禍で顧客(=医療従事者)を“直接訪問”する意義とは?

今さら言うまでもない事ですが、病院によってMRによる直接訪問への考え方は異なりますよね。

問答無用で直接訪問を禁止している病院。

アポイントがある場合に限り、直接訪問を認めている病院。

アポイントが無くても、自由に直接訪問しても良い病院。

数の大小はともかく、全国各地で様々なスタイルの病院があります。

私は病院メインで活動しているMRなので、どうしても病院の話ばかりになってしまうのですが…

大学病院だろうと、基幹病院だろうと、何らかの訪問規制を行っている場合が多いですよね。

これらの訪問規制はコロナ禍の前から存在していたワケですが、2020年のコロナ禍の以降は、より一層規制が厳しくなりました。

なぜかと言うと、人流を減らし、少しでもコロナ感染のリスクを抑えるためです。

医療を提供する施設としては、まあ当然の判断ですよね。

コロナ禍における病院とは、まさに最後の砦みたいな場所ですからね。

そんな病院だからこそ、人流を減らしたいと思うのは至極当然のこと。

今こうしている間にも、医師・薬剤師・看護師といった医療従事者の人々は、必死でコロナと戦っているワケですから。

そんな事情もあり、コロナ禍以降、MRによる直接訪問の難易度が爆上がりしたのは言うまでもありません。

実際のところ、MRによる直接訪問について否定的な病院は多いですからね。

 

コロナ禍で訪問規制している病院が『MRは来るな!』という警告を繰り返す理由とは?現役MRの活動経験に基づいて考察する!

【コロナ禍の弊害】MRによる対面形式での説明会について医局秘書からクレームをもらった体験談

 

そんな事情を知ってか知らずか、製薬会社の本社陣は現場のMRに対して“直接訪問”の指示を出してくるときた。

病院側の意向と、会社からの指示。

その合間で板挟みになっているMRたち。

私個人としては、これは決して気分が良いものではないです。

…とはいえ、病院ごとに訪問規制の度合いが異なるのだから、ある意味これは仕方のない事だとも思っています。

コロナ禍とはいえ、本社としては病院に訪問しなくてもOKだよ!』『コロナが流行っているから外勤しなくても良いよ!とは言いにくい側面もあるでしょうし。

よって、製薬会社の本社側は“直接訪問”をするか否かの判断について、現場のMRに任せているのが実情です。

ただ、この“現場任せ”というのが曲者なんですよね。

良く言えば、MR(現場)の自由。

悪く言うなら、MR(現場)の自己責任。

これが実態なのかなと思っています。

例えばですが、MRの判断で病院を直接訪問したとして、もしそのMRがコロナに罹っていたとしたら?

コロナ陽性であることを無自覚なまま、医療従事者と面会したとしたら?

病院内でコロナが流行ることに関して、不本意ながらもMRが一役買ってしまったとしたら?

そんな展開となってしまった時、誰がどのように責任を取るのか?

十中八九、こういった場合はMRが悪者にされることでしょう。

ヒサシ
ヒサシ

最終的な責任を負うという意味で、MRは損な役回りなんだよなぁ…

MRが来なければ、病院スタッフがコロナに感染することはなかった。

MRと面会しなければ、濃厚接触者になることもなかった。

事の次第によっては、病院側にそう思われたとしても仕方ありません。

もし仮に医師なり薬剤師なりが直接訪問のアポイントをOKしてくれたとしても、結果としてMRがコロナを広めることに関与してしまったとしたら、それはやっぱり良くない事だと思います。

病院側が直接来てもOKだよ!と言っているなら問題ない。

そんな風に思う反面、どうしても釈然としない感情もある。

お世話になっている先生方に対して『もし自分のせいで迷惑を掛けてしまったら…』なんて事を、ついつい考えてしまう。

よって、コロナ禍での“直接訪問”がMRとして正しい行為なのかどうか、私個人としては迷いを払拭できずにいるワケです。(汗)

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オンライン面談だけでは限界がある

コロナ禍の影響もあり、直接訪問の代替手段として、2020年の春くらいからオンラインでの面談が一気に普及しました。

Zoom、Webex、Teams、Skypeなど、色々なツールが一般化しましたよね。

おかげ様で、病院を直接訪問せずとも医療従事者の方々とコミュニケーションすることが可能になりました。

MRにとって、オンライン面談はもはや欠かすことが出来ないレベルにまで浸透したと思います。

ヒサシ
ヒサシ

オンライン面談の回数をKPIとして設定している会社もあるしな!

便利さ故に、驚異的なスピードで広まったオンライン面談。

しかし、こういったオンライン面談“だけ”では、MRとしての活動が頭打ちになるのも事実です。

…と言うのも、何だかんだ言ってオンライン面談に応じてくれない先生も多いじゃないですか。

早い話、オンラインでのMR活動には限界があるワケです。

私の担当エリア内でも自分はオンライン面談はやらない!』『MRからの情報提供は直接頼む!と言っている医師・薬剤師とかフツーにいますからね。

そんな先生のもとには、先生本人の意向に沿って直接訪問しています。

コロナ禍であっても、アポイントの打診を行えば、基本的に直接訪問をOKしてくれますし。

私自身も先生が来てOKだと言っているのだから、直接行くか…みたいな感じで、相手の厚意に甘える形で直接訪問しています。

ただし、これは先述した“人流を減らす”という考え方とは相反する行為でもあります。

だからこそ、ちょっとした葛藤があるというか。

ヒサシ
ヒサシ

巡り巡って、この先生にコロナ関連で迷惑を掛けることになったら申し訳ないな…

…なんて事を、ふとした時に考えてしまうのです。

そうは言っても、MRとしてはせっかくの面談チャンスを棒に振るワケにはいかない。

オンライン面談はしないと主張している以上、先生と濃いコミュニケーションを行うには直接訪問が必須。

もしここでコロナ云々を理由にしてMR側から面談を辞退すれば、当然、MRとしての仕事は立ち行かない。

それどころか、競合他社のMRに出し抜かれるという展開すらあり得る。

そのように考えて、今日も今日とて、私は直接訪問でのMR活動を頑張っています。

ヒサシ
ヒサシ

まあ、流石にアポイントなしでの無謀な突撃訪問などは自粛してますけどね…

要するに、MRの仕事を回すためには、オンラインに頼っているだけではダメなのです。

そのように頭の中では理解しているものの、どうしても感情が付いてこないことがある。

だからこそ、直接訪問の際に迷いを感じてしまうのかもしれません。

心の中で、ジキルとハイドがせめぎ合っている。

…と言うのは大袈裟な表現ですが、MRとしての葛藤が尽きないこと自体は間違いないです。

最後に:コロナ禍が続く限り、MRとしての葛藤も続くのだろう…

再三のことで恐縮ですが、今のご時世、誰もがコロナに感染する可能性があります。

それと同時に、誰もがコロナに感染可能性もあります。

極端な話、MRとして病院を直接訪問するということは、訪問先でコロナに罹る可能性もあるワケで。

病院とは病人が集まってくる場所ですから、それもまた仕方ないことです。

しかし、しかしです。

だからと言って、自分のせいで“家庭内にコロナを持ち帰ってきても良い”という理由にはなりません。

仕事とはいえ、自分の行動が引き金となって家族がコロナ陽性者にでもなったら、私は自分自身を責めると思います。

独身時代の私であれば、もし仮に訪問先の病院などでコロナに感染したとしても、それは自己判断による結果として受け入れることも出来たでしょう。

しかし、家族と共に生活している現在においては、もはや私一人の問題ではないのです。

どれだけ手洗いやうがいをしようが、ワクチンを接種しようが、コロナに感染する可能性を0%には出来ない。

だったら可能な限り0%に近付けるための努力が必要になるワケですが、それもまた簡単な話ではない。

私はプライベートでも飲み会には一切行かないようにしていますし、休日における外出なども必要最低限にしています。

ヒサシ
ヒサシ

リアルで誰かと一緒に酒を飲んだのは、果たしていつ頃だったかなぁ…(遠い目)

まあ、そこまでして感染対策に努めると、流石にストレスが溜まります。

そう思う反面、家族から少しでもコロナを遠ざけるためなら、代償としては安いとも思っています。

しかしながら、そこまでの努力をしたとしても、コロナ感染のリスクについて完全なるゼロには出来ない。

MRとして、常日頃から病院への直接訪問をしている身としては尚更です。

先生方(医療従事者)への葛藤。

そして、家族への葛藤。

これらを抱えつつ度々考えるのはMRとして、人間として、果たして何が正しいのか?という事です。

ヒサシ
ヒサシ

…と言っても、明確な正解なんて無いのですが(汗)

この記事を読んでいる読者さん(特に現役MRの人たち)にとっては、こんな事で悩むなんて馬鹿馬鹿しいと思う人もいるかもしれません。

そんなに悩むくらいなら、MRなんて辞めちまえと思う人もいるかもしれません。

まあ、率直に言うと私自身、そう思わないでもないです。

ここまで葛藤がどーのこーのと述べてきましたが、いちいち直接訪問の是非を考えていたら、ぶっちゃけキリが無いですからね。

それに、MRを辞めたいと思うほどの悩みでもありませんし。

結局のところ、出来る限り感染対策を頑張ってみて『もしそれでコロナに罹ってしまったら仕方ない…』みたいな考え方が丁度良いのかもしれませんね。

そうは言っても、コロナ禍が続く限り、私のような人間はウダウダと色々なことを考えてしまいそうですが。(汗)

何はともあれ、自他共に健康第一を心掛けて、コロナ禍でのMR活動を頑張ろうと思います。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

コメント投稿はこちら

  1. TK より:

    ブログ更新、楽しみにさせて頂いております。

    最近特に感染者が急増した事によって訪問する事によるリスク管理はどうするのか?と考えさせられますよね。
    医師、薬剤師、MS問わず。
    上からは直接面会の訴求効果に勝る物はないとして出来る限り訪問するよう指示がありますが、私もこの状況下で本当にやるべき事なのか、と自問自答し、悩んでいました。
    最近は会社の指示に従っただけだ、日当が出るから、と金欲しさに外勤し、半ば開き直るようにしています。何かあった場合会社が守ってくれるのかは甚だ疑問ではありますが…。
    郵送、メール、prjoyによる訴求効果は限界がありますしMRも所詮薬屋の営業と考えれば実績を出す為にはやりたくなくてもやらざるをえない事もありますから、営利団体の一員と考えれば仕方がないのかなぁ、と思うようにもしています。
    ただ、エリアによってはオンライン、リアル問わず本当に面会できる所がなく、そうなると、面会可能先が多いエリアを持つMRと、数に差が出てくる為、会議でこの事を詰められている先輩MRを見ていると非常に恐怖を感じます。
    どんなにMRが頑張ったところで、見ない先生は全く目を通しませんし、そもそも病院にオンラインに対応した設備がない、と言われたら、それでお終いです。
    ヒサシ様が仰ったように、そもそもオンライン自体をやらない先生、施設も数多くございます。
    幸い、私はアポ、許可さえ頂ければリアル、オンライン面会できる施設が比較的多いので首の皮一枚繋がっていますが、今後状況が一変し規制が一段と強化された場合、次の会議で詰められるのは自分ではないのか?と思わずにはいられません。
    結局は上の人間も、コロナ前の営業スタイルから脱却できていないのではないか?と思わざるをえないです。
    このご時世にKPIに面会、訪問数を入れられても不平不満が増すだけだ、と思います…。
    愚痴のような長文になってしまい非常に申し訳ございません。
    コロナもそうですが、酷暑が続いております為、お体にはご自愛ください。

    • ヒサシ ヒサシ より:

      TKさん

      コメントありがとうございます!
      MRによる面会数(訪問数)を追われているのは、多分どこの製薬会社も同じなのでしょうね。

      コロナ禍での訪問活動は感染拡大を助長することにも繋がりますから、倫理的な側面から考えると好ましい行為とは呼べないですよね。
      しかし、私たちMRは倫理観“だけ”で行動する職業ではないので、やはり顧客である医療従事者への訪問活動を通じて、売上目標を達成する必要があります。

      その点、医療機関への直接訪問はダメ、加えてオンラインでの面会もダメとなると、TKさんが言うようにMRとしては手詰まりになります。
      そうやって手詰まりとなったMRが会議などの場面で叱責される事もまた、製薬会社の中では日常茶飯事なのかと。

      もしかすると、面会数の乏しさを理由にしてMRを心身共に追い込み、自主的な退職を促そうとしているのか?…などと邪推することすらあります。
      現役MRとしては理不尽極まりない展開であるものの、「面会数が少ない」のは事実なので、上司(会社)に対して反論しにくいのが辛いところです。

      何れにせよ、本社の偉い人たちにはMRが直面している苦境について、もっと理解を深めて欲しいと願うばかりです。

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