こんにちは、アラサーMRのヒサシです。
本日はある開業医にて、少しばかりゾッとした話です。
ちょっとホラー要素がありますが、全て実話です。
ある開業医に対して、腹が立つのを通り越して、恐怖を感じたのです。
MS時代を含めても、ここまで変な医者はいませんでした。
なお、この件について私が接触した開業医の医者のことを、
今後はM先生と書かせてもらいます。
話すと長くなりますので、取りあえず、結論だけ先に書いておきます。
私はMRとして、M先生と決裂しました。
しかし、全く後悔していません。
発端は地場卸のMSからの電話だった
まず、前提として読者の皆さんにお伝えしたいことがあります。
私は希少疾患領域のMRであり、開業医を訪問することは稀です。
稀ですが、これは言い換えれば、訪問する必要があるなら開業医にも行くということです。
意外と思われる方も多いかも知れませんね。
実は、僅かですが開業医にも希少疾患の患者は存在します。
弊社で多いのは、大学病院などで確定診断後、薬のみを開業医にて処方してもらっているパターンです。
病気の種類にもよりますが、希少疾患の中には、薬を正しく使えば日常生活が可能なレベルで症状をコントロールできるものがあります。
さて、前置きが長くなってしましましたが、今回はある地場卸のMSからの電話が発端です。
MS『もしもし?○○市にあるMクリニックのM先生がおたくの薬について色々訊きたいらしいよ。』
ヒサシ『はい。承知しました。では、近日中にM先生のもとへと伺います。』
こんなやり取りをしながら、正直な話、
○○市のMクリニックのM先生?
聞いたことないな…。
と思ったりしました。
ですが、仕事は仕事。
私は気持ちを切り替え、Mクリニックを訪問しました。
診療時間のはずなのに患者がいない!受付もいない!
Mクリニックを訪問したのは16:00くらいでした。
普通の開業医ならバリバリ診療している時間帯ですが、どうも人の気配がしない。
MRやMSがいないという意味ではありません。
患者もいないし、受付や看護師などの従業員も見当たらないのです。
玄関から入り、スリッパに履き替え、ガラス張りの受付で声をかけても反応なし。
そもそも駐車場も空だし、何だか廃墟というか、
無人の学校みたいな雰囲気です。
でも鍵はかかっていなかったということは、誰か必ずいるはず。
そう思って待つこと20分ほどして、待合室のドアが開きます。
ドアから出てきたのは老婆(患者)でした。
そして、いつの間にか受付のガラスの向こうに白衣の人影が。
白衣の人物は60代くらいの男性で、おそらくこの人がM先生だと直感しました。
これだけなら特に驚かないのですが、次の瞬間、M先生(らしき人物)が奇妙な行動を始めました。
何と自分でレジを開けて患者(老婆)から代金をもらい、領収書を手渡している。
しかも、処方箋までM先生(らしき人物)が発行している。
このMクリニックには医療事務がいないのか…?
そんなことを考えていたら患者は待合室から去り、残されたのは私と、受付のガラス越しにいるM先生(らしき人物)だけ。
しかも、M先生(らしき人物)は私の方に視線を固定したまま動かない。
何だか怖いぞ、この先生。
しかも、ちょっと病んでいる雰囲気が漂っているぞ?
奇妙な沈黙の後、私は受付のガラス越しに名刺を渡して自己紹介しました。
挨拶の後、M先生らしき白衣の人物はやっぱりM先生だったと判明しました。
でも、M先生自ら会計をしたり、処方箋発行しているとは一体どういうことなのか?
しかも、何だか会話が噛み合わない。
そして、大変失礼な表現ですが、M先生の目がイってしまっている。
瞬きもせず、目が虚ろなのだ。
やっぱり怖いぞ、この先生。
ヒサシ『あの、MSさんから弊社の薬剤について情報提供を希望されていると伺いまして…』
M先生『情報提供?何のこと?』
ヒサシ『いえ、ですから…』
M先生『あなたは何しにここへ来たの?』
ヒサシ『はあ、ですから…』
こんな感じで、私が来た経緯を話すのに10分ほどかかりました。
M先生から自虐ネタ(?)を振られて困り果てる
どうやら、M先生が弊社の薬剤について興味があるのは本当のようでした。
ただし、M先生はMSにそのことを話した自覚(記憶?)はなかったそうで。
M先生曰く、弊社の薬(オーファンドラッグ)の対象患者を数人ほど診ているらしい。
しかも、M先生の話を聞いた限りでは、その患者数人に対して特に薬物治療をしている様子はない。
希少疾患なのに無治療なのか?
しかも、大学病院などに紹介もせず、今まで自院で患者を診てきたらしい。
いやいや、そんな馬鹿な。
何だか自己紹介のときと同じく、微妙に会話が噛み合わない。
大学病院への患者紹介を勧めても、
『それはダメだ。』
と返される。
正直言って、この時点で私はM先生との会話に疲れていたのですが、
M先生の話が本当なら、無治療のまま放置(?)されている患者を見過ごすことは出来ません。
それならばと思い、私から弊社の薬についてMクリニックでの説明会を打診し、何やかんやで承諾いただきました。
さらに、弁当の個数について話をする中で、
Mクリニックの従業員はM先生1人だけということが判明しました。
M先生『だいぶ前に看護師が辞めてね…』
ヒサシ『はあ…』
M先生『最近になって事務員も辞めてね…』
ヒサシ『はあ…』
M先生『だから私が色々やっているんだよ…』
ヒサシ『そ、そうなんですね…』
どうやら、M先生自ら会計をしたり、処方箋発行をしたりしているのは、
従業員が全員辞めたからだそうです。
この会話中も、M先生も目は虚ろというか、
光が灯っていないというか、
一言で言うと暗い目でした。
こんな暗い会話をしつつも説明会の段取りをまとめたところ、さらにM先生の口から衝撃の事実が。
M先生『ウチで診ている患者の中に、あなたが紹介した薬の適応の対象になるような人はいない。でも、近隣の薬局の人とか色々と人は集めるから、説明会は宜しくね。』
ヒサシ『えっ?先ほどM先生は、対象となる患者を数人診ていると仰っていませんでしたか?』
M先生『そんなことは言っていないよ。その病気の疑いがある患者だったらいるけどね。』
ヒサシ『そ、そうなんですか?あくまで病気疑いの患者さんですか?』
M先生『そうだよ。』
ヒサシ『でしたら、一度その患者さんを大学病院さんに紹介して検査してもらった方がいいのでは?』
M先生『患者の紹介はしないよ。』
ヒサシ『は、はあ…。』
M先生『じゃあ、説明会宜しくね。』
こんな具合で、埒のあかない会話が終了しました。
今思い返しても、互いの意見が噛み合っていない会話だったなぁと思います。
そもそも、説明会の段取りを組んだ後で、M先生が言っている対象患者が、
実は確定診断前の疑い患者だと知らされるとは思いませんでした。
本来なら、希少疾患疑いの患者がいれば、まずはキチンと検査して診断名を付けることの方が先決だと思うのですが…。
何とも釈然としない面会でした。
近隣薬局でM先生の悪い噂を聞いてしまった
M先生から近隣薬局への声掛けという話が出たので、念のためその薬局さんに挨拶しに行きました。
その際、その薬局に勤めているオバチャン薬剤師がM先生の評判について教えてくれました。
薬剤師『あなた、悪いことは言わないからM先生のところで説明会をするのは止めなさい。』
ヒサシ『えっ?どうしてですか?』
薬剤師『M先生はこの辺りでは評判が悪いことで有名なのよ。つまり、ヤブ医者ね。』
ヒサシ『そ、そうなんですか?』
薬剤師『そう。M先生は人間的に問題がある人でね。だから、患者もMRも、M先生には寄り付かないのよ。』
ヒサシ『は、はあ…。』
薬剤師『説明会なんてやったら、MRの話なんて聞かずに自分の知識自慢を始めるような人なのよ?しかも、話も長いし。あれはただ、MRが持ってきた弁当を食べながら自分語りしたいだけね。』
ヒサシ『そうなんですか…。』
薬剤師『そんな人だから、従業員も皆、M先生に嫌気が差して辞めてしまったのよ。』
ヒサシ『そ、そうだったんですね…。』
薬剤師『M先生が希少疾病患者を診ているって話も、間違いなく嘘ね。断言できるわ。』
ヒサシ『…………。』
薬剤師『だから、M先生とは関わらない方がいいわよ。1日に診ている患者だって、ほんの数人なんだから。』
この会話によって、M先生は周りから疎まれていることがよく分かりました。
少なくとも、このオバチャン薬剤師はM先生を毛嫌いしている。
そのことが伝わって来ました。
私自身も、M先生の発言が二転三転していることを思い出しました。
そのときの違和感が確信に変わったのです。
そして、こう思いました。
M先生のもとで説明会をやりたくない!!
適応となる患者がいないのに、説明会をする意味なんてない!!
…と。
突然の幕切れ
実はM先生とは、次回訪問の約束をしていました。
つまり、アポイントですね。
M先生との面会から翌週の某日、16:00に面会を約束していたのです。
さて、私はアポイントの日時に改めてMクリニックを訪問したのですが、
その日のMクリニックは施錠されていました。
インターホンを押しても、電話をかけても、全く反応なし。
このときは正直なことを言うと、M先生に腹が立ちました。
アポイントをドタキャンかよ!?
…と。
しかし、もしかしたらM先生は何かの急用で都合が悪くなったのかも知れません。
その翌日、一応、私はM先生にアポイント日時に訪問した件について一報することにしました。
そして電話に出たM先生と、こんなやり取りをしました。
ヒサシ『先日、16:00にMクリニック様に伺ったのですが、M先生はご不在だったようで…』
M先生『はあ!?アポイントは16:00じゃなくて14:00だったろうが!?』
ヒサシ『えっ?』
M先生『それになぁ、私は16:00には医院に居たぞ!?』
ヒサシ『えっ?で、ですが…』
M先生『約束の時間も守れないのか!?そんな奴がいる会社の薬なんてなぁ、#$%&#$%&!!!』
ヒサシ『は、はあ…』
M先生『#$%&#$%&!!!』
ヒサシ『で、ですから…』
M先生『#$%&#$%&!!!』
ヒサシ『(ダメだ…まるで話が通じない…。)』
M先生『#$%&#$%&、わかったか!!』
ガチャッ
ツーツーツー…
要点だけまとめると、
M先生は16:00と14:00を取り違えており、
なおかつ、
悪いのは全ておまえ(ヒサシ)だ!
と、主張したかったようです。
しかも、電話の後半辺りはM先生が何を言っているのかよく分かりませんでした。
ここまで一方的に罵られると、腹が立つのを通り越して怖くなりました。
M先生は狂人なのでは?
本気でそう思いました。
ただ、M先生と決裂したことによって説明会の話が流れたのはある意味ラッキーでした。
MR(営業)の醍醐味は色々な人間と出会えること
ここまで書いた一件以降、M先生とは一切関わっていません。
と言うより、もう関わりたくありません。
変な顧客と関わっても、こちらが消耗するだけだからです。
その一方で、ここまでイカれている人間と関わったこと自体について、
何というか、良い社会勉強になったという手応えもあります。
MR(営業)ならではの醍醐味かも知れませんね。
特に、今回のM先生は単なるクレーマーの枠に収まらないタイプの人間だったように思えます。
何が原因でM先生がああなってしまったのか知る由もありませんが、
世の中には話が通じない人間がいるということがよく分かりました。
これはこれで、ある意味ですが、良い経験でした。
少なくとも、こうしてブログの記事ネタになるくらいにはインパクトのある出来事でした。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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