MRに無断で『詰め込み販売』を行うMSの罪深さについて語る!

MRとMSの関係

こんにちは、アラサーMRのヒサシです。

突然ですが、今から某卸の某MSに対する不満を書いていきます。

ついでに、業界内における悪習たる詰め込み販売についても糾弾します。

 

医薬品卸のMSを苦しめる『詰め込み販売』とは?元MSが業界内の悪習を暴露します!

 

この一介のMRによる怒りの声が、1人でも多くのMSのもとに届くことを祈ります。

では本題です。

2020年の9月末、私の担当エリアにある基幹病院にて、某医薬品卸の某MSが詰め込み販売(通称:詰め)を行いました。

詰めた品目は弊社の大型製品なのですが、9月末に納品したようです。

肝心の金額ですが、私の担当エリア全体におけるその製品の売上金額(月額)のうち、約30%に相当する額です。

月額の30%相当ですよ?

これが何を意味しているのか、MRの方であれば理解してもらえることでしょう。

さて、この一連の行為を帳合卸のMSが私に無断で行いました。

大切なことなのでもう一度言いますよ。

このクソみたいな行為を、MSが私に無断で行いました。

(※むしろ、クソみたいな行為だという自覚があるからこそ、私に相談せずに無断で行ったと捉えることもできますけど。)

さらに最悪なのは、先述した基幹病院にて10月20日前後から詰めた分の返品ラッシュが始まり、現在の売上進捗率はかつてない低空飛行をしているような状態です。

…と言うか、その品目の進捗率は社内でも相当な下位に入るレベルです。

ここまで酷い進捗率はMRになって以降、ちょっと経験したことがありません。

そのせいで、この進捗率の悪さについて色々な報告書まで出す羽目になってしまいました。

ヒサシ
ヒサシ

やってくれたな!!

このクソ野郎がぁぁぁ!!

…という物騒な言葉遣いにならないように、怒りの感情を抑えつつ、毅然とした態度で担当MSにクレーム電話を入れました。

そこからさらに数日が経ち、ようやく頭が冷えてきたところです。(汗)

そこで、発端となったMSの行動や、さらに根底にある【詰め込み販売】という名の悪習について語っていこうと思います。

今後は『詰め込み販売』のことを略して『詰め』と書かせていただきます!
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医薬品卸の決算月にはMS独断の『詰め』が頻発する

ここで少しばかり、医薬品卸における決算月についておさらいしましょう。

4大卸を含めて、医薬品卸の年度始めは4月であり、年度末は3月です。

例えば2020年度だと、年度始めは2020年4月であり、年度末は2021年3月ということになります。

この前提のもと、上期・下期や四半期について見ていきます。

医薬品卸にとって上期は4月~9月、下期は10月~翌年3月です。

四半期とはご存知の通り、上期・下期をさらに細分化したものです。

よって、第一四半期は4月~6月、第二四半期は7月~9月、第三四半期は10月~12月、第四四半期は翌年1月~翌年3月です。

さて、それぞれの期間の締月はいわゆる決算月ですから、利益の稼ぎ頭である営業現場には普段以上のプレッシャーが掛かります。

つまり、医薬品卸における3月、6月、9月、12月とは早い話、“販売強化月間”なのです。

この辺りは日系企業で営業経験がある人ならご存知かと思いますが、ここで悪い意味で台頭してくるのが【詰め】です。

まさに医薬品業界の悪習たる『詰め』ですが、先述した決算月の中でも、上期・下期の締月たる3月と9月は凄まじいことになります。

上司も、プロモーターも、現場のMSにとにかく詰めて詰めまくれ!的な指示を出します。

少なくとも、私がMS時代に勤務していた営業所ではそうでした。

ヒサシ
ヒサシ

翌月以降の売上が凹むことなんて、まるでお構いナシです!!

いや、売上が凹むことを危惧しているMSがいるとしても、上司やプロモーターからの指示であれば、MSは詰めるしかありません。

MSとて会社員ですから、会社からの指示には従う他ないのです。

…というワケで、3月や9月における朝の営業所ミーティングでは誰が・どの取引先で・どの薬を・どのくらい詰めるかといった議論ばかりします。

詰める品目もプライマリー系の新薬から、オンコロジー系の高薬価品まで、本当に様々です。

ついでに言うと、上司やプロモーターの指示通りに詰められなかったMSは吊し上げに遭います。

これは裏を返せば『詰めたMSが偉い!』という謎の文化が根付いているからに他なりません。

この決算月におけるMSの業務量は半端ではなく、詰めが可能な取引先では、全軒に詰めの交渉をするくらいの勢いです。

これは誇張でも何でもなく、純然たる事実です。

さて、この決算月というタイミングは、良くも悪くもMSの人間性が浮き彫りになります。

律儀にMRに了承を取った上で詰めるMSもいますが、私の経験上、そういったMSは少数派です。

大半のMSはMRの都合などお構いなしで詰めのために東奔西走します。

余談ですが、MS時代に私が大嫌いだった先輩(オッサンMS)は、新人だった私にこのような指導をしました。


MRの都合なんか知ったことじゃない。
俺たちは会社の指示に従って詰めてりゃ良いんだ。
MRに了承取る暇があったら、1軒でも多く詰めてこい。
つーか、MRに連絡入れたら詰めるのを止められるかも知れねーだろ。
頭使え、この馬鹿。

自分で書いていて思いましたが、これって指導と言うか暴言ですね。(汗)

MSだけでなくMRも経験した今、このオッサンMSは最低な人間だったのだと改めて実感しました。

少し話が逸れましたが、まとめますと、決算月(特に3月と9月)はMSによる独断の詰めが頻発しやすい時期だということです。

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詰めるならMRに了承を取るべき!…か?

私自身もMS経験があるからこそ分かるのですが…

本当にMRを大切にしている、あるいはMRを敵に回したくないのであれば、MRに了承を取った上で詰めるのが筋というものです。

…が、詰める際にMRに了承を取るMSは多くないです。

それはなぜか?

MRによっては高確率で反対されるからです。

実際、今回のケースでもし私が9月末の時点で帳合卸のMSから『詰めて良いですか?』的な相談を受けていたら、間違いなく却下していました。

このブログでも再三述べてきましたが、私は詰めに対しては反対派です。

 

医薬品卸のMSを苦しめる『詰め込み販売』とは?元MSが業界内の悪習を暴露します!

 

このような商習慣は業界内から消え去って欲しいと心の底から思っている人間です。

…という事情も相まって、帳合卸のMSは私に詰めの報告・連絡・相談を一切しなかったのでしょうね。

ある意味ではヒサシというMRの性格を理解していたからこそ、帳合卸のMSはこのような行動に出たのかも知れません。

さて、MS目線で考えてみると、詰め否定派のMRに詰めの相談をしたところで時間の無駄です。

そんなMRにコンタクトする暇があったら、MS時代に私を虐げたオッサンMSのようにMRに無断で詰めを行い、もしMRからクレームが来たら適当に言い訳をすればいい。

社会人としてのモラル云々は抜きにして、MSとしては極めて賢い行動と言えます。

さらにタチが悪いのは、こういった行動を得意とするMSほど、社内では仕事が出来る!などと称賛されがちな点です。

繰り返しになりますが、医薬品卸内では詰められるMSは有能で、詰めなれないMSは無能扱いされます。

そんな環境では働いているせいか、程度の差はあれど、MSは詰めてナンボという価値観を持っています。

もし新人MSであっても、そんな環境で働き続けて数年が経つ頃には、『色々な知恵を絞って詰めを行うMS』と化してしまいます。

ヒサシ
ヒサシ

すいません、自分で書いていてムカついてきました(汗)

MSを辞めてから何年も経つのに、MS時代に詰めを行っていた自分自身を思い出すと嫌になってきます。

まとめますと、悪知恵というか、老獪さというか、悪辣さというか…

MSは多かれ少なかれ、こういった“ダークな部分”を持ち合わせています。

MSを嫌うMRが多い理由の1つとして、こういった事情があるからという事実は否めないです。

まあ、私自身も新人MSだったころは上司や先輩MSに流されるまま詰めを行っていました。

付け加えると、売上を大きく詰める際にMRへの了承を取ることを意識し出したのは、MSとして3年目に入った頃からでした。

ヒサシ
ヒサシ

あの頃の報いを、今まさに受けているということなのか…?

ある意味では『因果応報』とも呼ぶべき今回の一件。

何だか業の深さみたいなものを感じております。

それでもやっぱり、今回勝手に詰めを行ったMSのことは許せないですし、メチャクチャ腹が立ちますけどね。

MSにクレームを入れないMRはナメられるぞ!

今回、私は帳合卸のMSに電話でクレームを入れました。

そのMSの行為が心底許せなかったという感情的な理由は勿論ありますが…

それ以上に大切な理由として、今後そのMSに自分勝手な詰めを行わせないためです。

MSとして、MRからクレームを受けることは決して歓迎できるものではありません。

ヒサシ
ヒサシ

まあ、クレームを受けて気分が良い人間などいないでしょうけど…

人間の心理として、一度クレームを受けたら、二度目のクレームは避けたいと思うものです。

ましてや、MSにとってMRは敵ではなく味方でいてほしい存在です。

MRと揉めた結果、そのMRが腹いせに帳合品の情報を他卸のMSに流す。

…なんてことは十分に起こり得ます。

その結果、自社からの納入金額などがバレてしまったとしたら?

そのことがきっかけで、他卸からより安い見積もりを出され、入札時に負けてしまったとしたら?

それこそ、MSとしては本末転倒です。

そこまでの行動を起こすMRは決して多くありませんが、MSが最も嫌うのは先述の行為をMRにされる可能性です。

そういう意味では、MRとして私はアンタの行為に怒っていますという意思表示をすることで、MSを牽制し、詰めに対する抑止力となります。

むしろ、ここでクレームを入れなかったらMSは得意気になって今後何度でも詰めを行って来るでしょう。


今回は○○って会社のヒサシとかいうMRに無断で詰めを行ったけど、特に何も言われなかったな。
どうやら、こちらが勝手に詰めてもクレームを入れてくるタイプのMRではないようだな!
こりゃあ、チョロいMRだ!
じゃあ、次の決算月とかで数字に困ったら、また勝手に詰めてしまおう!

こんな風にMSに思われてしまったら、MRとしては完全にアウトです。

こういった形でMSを甘やかしていると、MSは増長していく一方です。

ヒサシ
ヒサシ

MRが思っている以上に、MSは狡賢いのです!

むしろ、狡猾でなければMSとしての業務を全うできないことが多々あります。

実際、私がMSだった頃は営業所内で先輩MS同士がこういった『MRを蔑ろにする会話』をしている場面を何度も見かけました。

こうならないためにも、MSによる自分勝手な詰めに対して、MRは毅然とした態度でクレームを入れなければなりません。

クレームを入れることで、少なくともMSはMRに対してコイツは面倒くさいMRだな…という認識を持つようになります。

この際、面倒くさくて結構です。

MSの詰めによって翌月に大量の返品が発生したり、院内での正確な薬剤使用量を把握できなくなるくらいなら、MSから『面倒なMRだ』と思われた方が良いです。

むしろ、MSから面倒なMRだと認識されることで馬鹿らしい詰めを予防できるのなら安いものです。

MRとMSは家族でもなければ友達でもありません。

あくまでビジネスパートナーです。

仕事上で相手から不利益を被ったのならば、堂々とクレームを入れてやれば良いのです。

その結果、そのMSとの関係が拗れるのならば、それも致し方ありません。

その場合は他卸の信頼できそうなMSに水面下で手を組み、帳合変更の工作をしてやれば良いのです。

もちろん、帳合卸のMSとは喧嘩しないに越したことはありません。

しかし、場合によってはそういった手段を講じることもまた、MRにとっては必要な仕事なのだと思います。

最後に:場合によってはMSに苦言を呈することは大切だぞ!

今回の記事で、私は『MSは狡賢い』と書きました。

社内では評価されていても、MRを含む社外関係者から評価されないMSが存在する理由がコレです。

こういったことを書くと、現役MSの人たちは不愉快に感じるかと思います。

もし私が今でもMSだったとしたら、間違いなく良い気分ではないでしょうね。

しかしながら、MRの目線から見ると、MSの悪辣さが目に留まる場面が多々あるのは事実です。

元MSとして、彼らの事情が分からないわけではないです。

とはいえ、少なくとも互いに気分よく共存共栄していきたいと思えるようなMSは稀です。

以前、私がリスペクトしているスーパーMSについて記事を書いたことがありますが、こういったMSはハッキリ言って少数派なのです。

 

これが医薬品卸のスーパーMSなのか?大学病院の担当MSが優秀すぎる!

 

では、『詰め』をMRに無断で行うような狡猾タイプのMSと関わらざるを得ない場合、MRはどうすれば良いのか?

私個人としては、やはりその都度クレームを入れていくしかないと考えています。

仕事上で不利益を被ったとして、その際に苦言を呈することは何らおかしなことではありません。

MSが自分の利益だけを図るような行動を繰り返すようであれば、MRはそれを看過してはいけないのです。

特に期末には各医薬品卸のMSが一斉に【詰め】を行いますから、MRとしては心中穏やかではないことも多いでしょう。

MRがMSに依頼して『詰め』を行ってもらったならともかく、そういった事情もないのに詰められてしまっては、MRにとっては甚だ迷惑です。

そういった不満の感情があれば、毅然とした態度で『詰め』を行ったMSにクレームを入れましょう。

もし性格的にクレームを入れるのが苦手であれば、上司に相談するなりして、上司経由でMSに意思表示した方が良いです。

繰り返しになりますが、敢えて言わせていただきます。

MRとMSは家族でもなければ友達でもありません。

あくまでビジネスパートナーです。

そのパートナーが裏切りに等しい行為をするようであれば、クレームを入れるのが当然なのです。

今回のクレームが契機となり、今後は担当MSが勝手な『詰め』をしないことを祈るばかりです。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

コメント投稿はこちら

  1. you2 より:

    あるあるですよね…。卸には卸の事情があるので仕方ないとはいえ、MR側からすればたまったモノではありません。特に対象症例が少なくてグロスの張る高薬価品を詰められることが多いし、そうなると新規処方があったときに把握できなくなるからマジで困るんですよね。
    おっしゃる通り、MS側からすれば事前相談したところで断られる、難色を示されることしかないと思うので、それなら勝手にやる…という真理は理解はできます。

    そして、卸目線のデキるMSと、メーカー目線のデキるMSは結構な差異があるというのも事実ですよね。
    前のエリアで、処方元の医師には全く会わずに薬局商売しかしない、そして特に情報を持ってるというわけでもない某卸のオジMSがいて、MRからすれば何の価値もないし、実際にMR間では陰口叩かれてましたが、卸の社内では違いました。いわゆるデキるMSのポジションだったんですよね。理由としてはヒサシさんがおっしゃる通り詰めだけは本当にキッチリやってその場の数字を使ってくることには長けてたのです。新規採用や増量、PRは完全にMR任せで何も役に立たないにも関わらず。
    そのオジMSの同僚で、当時仲の良かった若手MSにその背景を愚痴ったら、共感されるどころかオジMSの肩持たれましたからね…。「そんなことない!あの人は男気あるし色々と相談にも乗ってくれる良い人だ!」と汗
    結局、社内でどんだけアピールするかが大事なのは卸もメーカーも同じだな…と思わされましたよ…。

    • ヒサシ ヒサシ より:

      you2さん

      いつもコメントありがとうございます!
      you2さんのコメントに関して、今回は思い当たる節が多過ぎて、普段以上に共感しながら読ませて頂きました。

      MSにも様々なタイプがいますけど、私が今回関わったMSはMRにとって本当に厄介なタイプの人でした。
      私が思うに、いわゆる「優秀なMS」には2パターンあると思っています。

      ①社内外を問わず誰からも「あの人は凄い!信頼できる!」と称賛されるMS
      ②卸内では称賛されるけどMRからは全くアテにされていないMS

      「詰め」の場面で我々MRを困らせるのは、言うまでもなく②ですよね。
      彼らは卸社内での処世術に長けており、社内で評価されるためならMRにとって不利益となる行為も辞さないです。

      まあ、MRの中にもMSを蔑ろにするタイプの人間もいますから、ある意味ではお互い様という気もしますが…
      やはりMRとしては①のようなMSと手を組みたいと思うばかりです。

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