FF15の悪役『アーデン』の正体と魅力について語る!(ネタバレ注意!)

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FF15が大好きなユウと申します!

自他共に認めるFF15オタクな筆者ですが、これまでブログ内で色々なFF15の記事を書いてきました。

 

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世間では賛否両論なFF15ですが、筆者は今でも楽しくプレイしています。

さて、今回はFF15の悪役アーデン・イズニアについて語っていこうと思います!

FFシリーズに限った話ではありませんが、RPGにはストーリーを彩る悪役が必要です。

この悪役の存在によって、ストーリーの出来が決まると言っても過言じゃないです。

そういった意味では、何かと魅力的な悪役が多いFFシリーズですが、その中でもアーデンは特に魅力的だと悪役だと思っています。

同時に、アーデンというキャラクターは好き嫌いがハッキリと別れる悪役なのかなと思います。

ゲーム中での巨悪であることに間違いはないけど、悪事を働くに至った過程などを考えると、真性の悪党とも言い難い。

加えて、今までのFFシリーズに登場した悪役たちとは、そもそも悪としての方向性が違う。

アーデンの場合、神になるとか、世界を支配するとか、そういったFFらしい最終目的など一切ナシ。

あくまでアーデンは個人的な復讐のためだけに行動しています。

とにかく、頭の中は復讐のことだけ。

とにかく、心の中は憎悪と絶望で溢れかえっている。

ユウ
ユウ

まさに人間の“負の感情”を全て詰め込んだかのようなキャラクターです…

ある意味、人間ドラマがウリのFFシリーズならではの悪役と言えるでしょう。

プレイヤー目線だとこいつはマジで許せない!と思わせてくれるアーデンですが、クリア後は違った見方ができる悪役です。

容姿・能力・性格・台詞・正体・過去・声など、あらゆる部分が秀逸です。

特に声に関しては、声優の藤原啓治さんの演技力も相まって、悪辣な印象が凄いことになっています。

FF15の発売前はFFシリーズ歴代の悪役に負けないカリスマ的な悪役と宣伝されていたアーデン。

またスクエニが大袈裟なことを言ってるなぁ~…でなどと最初は思っていたのですが、本当にその通りでした。

主人公ノクティスとは因縁のある関係であり、ルシス王家のアダギウム(禁忌)として歴史の闇に葬られたアーデン。

ゲーム本編のみならず、メディアミックスされたFF15においてはDLC・映画・小説といった各方面に登場し、様々な悪事を働いています。

そこで、FF15マニアの筆者がアーデンの正体・目的・魅力について語っていこうと思います!

なお、この記事の内容にはネタバレが含まれますので、閲覧の際にはご注意ください!

アーデンとは何者なのか?

まずは忙しい人向けに、アーデンがどんなキャラクターか分かるように主な情報をまとめてみました。

なお、FF15が発売してから数年が経っていますが、DLCや小説版で判明した情報も併せて記載しています。

アーデンとは?

◎声(声優)
故・藤原啓治さん

◎本名
アーデン・イズニア

◎正式名
アーデン・ルシス・チェラム

◎年齢
約2000歳(肉体年齢は33歳)

◎身長
190cm

◎見た目
胡散臭い中年(序盤のノクティス評)

◎職業
チェラム家の領主(2000年前)⇒ニフルハイム帝国の宰相(現在)

◎性格
温厚かつ献身的(2000年前)⇒凶悪かつ猟奇的(現在)

◎目的
ルシス王家への復讐

◎能力
武器召喚(ルシス王家と同じ)、シガイの吸収、人間をシガイ化する、自分の姿を別人へと変える、不老不死

◎人間関係
2000年前は初代神凪である『エイラ・ミルス・フルーレ』という恋人がおり、シガイへの対処方法を巡って実弟である『ソムヌス・ルシス・チェラム』と対立

ご覧のように、2000年前と現在とでは、もはや別人と呼べるほどに違う性格をしています。
ユウ
ユウ

本当に同一人物なのかと疑いたくなるレベルです

ゲーム本編に登場するのは現在のアーデンは飄々としており、ニフルハイム帝国(ルシス王国の敵国)の宰相にも関わらず、ノクティス一行を助けることも多いです。

しかし、その行動には理由があります。


アーデンの真の目的とは、主人公のノクティスを『真の王』として覚醒させ、そのノクティスを自分の手で倒すことだった。


アーデンというキャラクターを語る上で外せないポイントがここです。

極端な話、アーデンはニフルハイム帝国とルシス王国の戦争における勝敗などに興味は無いのです。

ルシス王家の血を継ぐノクティスを倒す。

しかも、ただ単に戦って倒すのではない。

あくまで『真の王』としての力を得たノクティスを倒すことに拘っています。

そして、その過程においてノクティスを精神的に苦しめることにも拘っています。

後ほどアーデンの悪行について紹介しますが、最たる悪行は、ノクティスの目の前でルナフレーナを刺殺したことでしょうか。


ルナフレーナが刺されたシーンは、ノクティスにとって大きな心の傷となった。

(※アーデンに刺されたルナフレーナは即死したワケではないけど。)


ゲームをプレイした人なら知っての通り、ノクティスの不幸が自分にとっての幸福と言わんばかりのキャラクターです。

しかも、ただ単にノクティスを殺すだけでは飽き足らないアーデン。

ノクティスを徹底的に苦しませた上で真の王として覚醒させ、そのノクティスをクリスタルの力ごと、正面から打ち破ることが、アーデンにとっての復讐なのです。

このことから、ルシス王家に対する恨みの深さが窺えます。

ユウ
ユウ

とにかく、アーデンの執念は尋常ではない…

個人的な復讐のためだけに、主人公(ノクティス)を追い詰める悪役というのは、今までのFFシリーズにはいなかったタイプです。

プレイヤーにとって、この辺りが悪役としての賛否が分かれるポイントなのかも知れません。

ただし、個人的にはアーデンはとても良い悪役だと思っています。

ある意味、個人的な復讐という地味な行動原理ではありますが、だからこそ良い味を出している。

2000年にも及ぶ憎悪と絶望によって、主人公(ノクティス)を陥れようと画策するアーデン。

万人受けしない悪役だからこそ、何と言うか心の琴線に触れるものがあるのです。

FF史上最凶の復讐鬼!?

先ほど書いた通り、アーデンはルシス王家への復讐のためだけに行動しています。

目的こそ地味ですが、そのために行った悪行は数知れず。

国家間の戦争を裏で手引きするだけに留まらず、最終的には世界規模の環境改悪まで行っています。

ユウ
ユウ

ゲーム本編の14章では夜が明けないシガイだらけの世界になっていますからね…

どれもこれもルシス王家(特にノクティス)を苦しめるために行っているのです。

そんなアーデンの悪行について、時系列順にまとめてみました。

・警備隊に扮してルシス王国を襲撃(DLCのエピソード アーデンのchapter3)

・テネブラエ襲撃を指示して元首シルヴァ(レイヴス・ルナフレーナの母親)を殺害

・イドラ皇帝を唆して間接的に王都インソムニアを壊滅させる

・グラウカ将軍を利用して間接的にレギスを殺害

・ルナフレーナを殺害

・プロンプトを列車から落とす(殺害未遂)

・イドラとレイヴスをシガイ化させる(実質的に殺害)

・世界にシガイを蔓延させる(不特定多数が死亡)

ゲームをプレイしただけだと分かりにくいですが、FF15の前日譚である映画キングスグレイブでも相当悪どいことを行っています。

裏設定ですが、ニフルハイム帝国の皇帝イドラを唆したり、ルシス王家に恨みを持つグラウカ将軍を利用したりなど、舞台の裏ではアーデンが糸を引いています。

どれもこれも、アーデンはルシス王家に対する復讐したいがために行っています。

いや、ルシスの王族だけでなく、ルシス王国という国そのものをアーデンは憎んでいます。

それはなぜか?

後ほど詳しく紹介しますが、実弟であり、ルシス王国の初代国王(夜叉王ソムヌス)によってアーデンは2000年もの間、闇の中に幽閉されていたからです。

自我を持つ人間にとって、2000年はあまりにも長すぎる。

小説版の描写を見る限りでは、アーデン自身もいっそ殺してほしいと思うほどの苦しみだったようです。

そして、アーデン目線では永遠とも思えるほどの苦渋を与えた実弟であるソムヌス。

アーデンが幽閉された2000年後であるゲーム本編において、当然のことながらソムヌス本人は既に故人です。

しかし、ソムヌスの魂は光耀の指輪に宿っており、なおかつソムヌスが興したルシス王国は繁栄を極めている。

自分を犠牲にして栄えた国など、アーデンにとっては不愉快な存在でしかないワケです。

ルシス王国の歴史において、アーデン・ルシス・チェラムの名前は残っていない。

それどころか、アーデンの存在はルシス王家におけるアダギウム(禁忌)として後世に語り継がれているだけ。

少なくとも、2000年前の時点では、アーデンは何の罪も犯していないにも関わらず…です。

ユウ
ユウ

ルシス王家にとってアーデンの存在そのものが“闇”であり“禁忌”というワケですね

いくら何でも、これじゃあんまりです。

アーデンとの最終決戦の直前、プロンプトが『あの人(アーデン)は、神話の中の闇ってことか…』と呟くが、まさにその通りである。

これではアーデンがルシス王家を憎むのも無理ないです。

ちなみに、この辺りの事情はゲーム本編ではなく、DLC・小説・アニメによって補完されています。

約2000年の幽閉から脱して以降、アーデンが行った行為は到底許されるものではないです。

ですが、アーデンの過去を辿っていくとまた違った深みが感じられます。

FF史上最凶の復讐鬼には、まさにFFらしい人間ドラマの要素が集約されているのです。

ノクティス(主人公)の心を抉る言葉の数々

ノクティスの不幸が俺の喜びだ!と言わんばかりのアーデン。

ゲーム本編では、その尋常ではない復讐心によってノクティス(主人公)、及び、プレイヤーのメンタルを思いっ切り削りに来ます。

アーデンがノクティスへの敵意をハッキリと露にするのは9章からですが、それ以降の悪辣さと来たら半端じゃありません。

何と言っても、ノクティスに直接的な危害は加えず、精神的に苦しめてくるところがポイントです。

その行動、その言葉の1つ1つが、確実にノクティスの心を抉っていきます。

特にゲーム本編の9章でルナフレーナを刺したシーン。

わざわざノクティスが倒れて動けないタイミングを狙って実行したところに、底知れない悪意を感じます。


水神リヴァイアサンの誓約の際、ノクティスが見ている前でルナフレーナを刺すアーデン。


しかも、アーデンの悪行はまだまだ続きます。

ノクティスを苦しめるための次なるターゲットは、共に旅をしている仲間たち。

ノクティスにとっての大切な人間を傷つけるという意味で、アーデンの行動は一貫しています。

ユウ
ユウ

しかも、このときのアーデンって凄く楽しそうなんですよね…

とにかく、悪い意味でブレることなく実行に移しています。


11章ではノクティスに幻覚を見せ、何とノクティス自身の手でプロンプトを列車から転落させる。真実に気付いたノクティスの呆然とした表情が辛い…。


アーデンの復讐行動はさらにギアはさらに上がり、いよいよゲーム本編の中でも悪評高い13章。

プロンプトは行方不明のまま、今度はイグニス・グラディオラスと分断されたノクティス。

加えて、ゲームシステムの要である武器召喚の能力も封じられるという始末。

周りはシガイだらけなのに、まともに戦うことすら出来ないときた。

そんな状況を強いられたノクティスの孤独や焦燥を煽るかのように、ひたすら放送攻撃を繰り返すアーデン。

ノクティスのみならず、プレイヤーの精神をも削り取っていきます。

ユウ
ユウ

初回プレイ時の13章はキツかったなぁ…


13章では遠方からの放送によって、ネチネチと精神的に攻撃してくるアーデン。FF史上、ここまで悪辣とした台詞を連発するキャラクターがいただろうか?


とにかく、アーデンはノクティスの無力感・絶望感といった感情を煽るようなことばかり言ってきます。

ユウ
ユウ

おいおい、ここまでやるか?

…って感じです。

まさに、2000年という歳月をかけて恨み骨髄にてっといった状態に至ったのでしょうか。

もはや狂人とさえ呼べるレベルです。

極めつけは、最終決戦の終盤にアーデンが言う台詞です。


雨の中でノクティスと斬り合うアーデン。体力を消耗したせいか、語気も荒くなっている。

父親が死んだとき――バカ騒ぎして遊び惚けていたガキが。
恋人が死んだとき――疲れきって横で伸びてたマヌケが。
10年程度で俺を超えたと思うなよ!!
俺がどれだけ――闇の中で生きてきたと思ってる!!

これでもかと2000年分の怨念を吐き出すアーデン。

同時に、父親・恋人というノクティスにとっての2大喪失ポイントを容赦なく突いてきます。

一方で、当のノクティスは何も反論しない。

いや、反論できないと分かっているからこそ、アーデンはこのようなことを言い放ったのかも知れません。

ユウ
ユウ

そこまでノクティス(ルシス王家)のことが憎いのか…

…ということがプレイヤー側にも伝わってきます。

最後の最後まで、アーデンの恨みの深さが窺えるこの場面。

声優である藤原啓治さんの演技、そして神BGMと相まって、このシーンはFF15の中でも特に燃えるポイントだと思います。

このように、全編を通じて復讐の権化として活動し続けたアーデン。

その目的のみならず、ノクティスを苦しめるための手段も惨たらしいことこの上ない。

初プレイ時、とにかく筆者はアーデンに対してこいつ、マジでムカつく野郎だな…!という印象がありました。

しかし、ここまで復讐や精神攻撃に特化していると、クリア後には逆にリスペクトのような感情が湧いてくるから不思議です。

死にたくても死ねない男

ゲーム本編の12章で、アーデンは死にたくても死ねないと発言しています。

アーデンの軽い口調と会話の流れから、何気ない台詞のように感じられます。

しかし!

実はこの台詞にアーデンというキャラクターの絶望や苦しみが集約されています。

繰り返しになりますが、アーデンは不老不死です。

では、なぜアーデンは不老不死なのか?

FF15の発売当初、アーデンが不老不死である理由とは、シガイ化した影響によるものと考えられていました。

しかし、2019年に発売された小説版で明かされた設定によると、アーデンが不老不死であるのはシガイ化の影響ではないと明言されています。

ゲーム本編でも、シガイ化した人間(レイヴスなど)は実際に死んでいるワケですから、シガイ=不老不死ではない点については合点がいきます。

では、アーデンが不老不死である真の理由とは?

FF15の小説版によると、2000年前にクリスタルに触れた際、アーデンの魂が対をなす世界と呼ばれる異世界に囚われてしまったことが原因と描写されています。

対をなす世界とは、平たく言えばあの世です。

もっと具体的に言うと、FF15のエンディングでノクティスとアーデンが居た宇宙のような空間こそが『対をなす世界』です。


FF15のエンディングにおけるシーン。『対をなす世界』にて対峙するアーデンとノクティス。


つまり、魂が対をなす世界に囚われている限り、現実世界で死ぬことは決して無いのです。

実際、ゲーム本編の12章でシヴァによって凍らされ、さらにノクティスによって粉々に粉砕されても、何事もなかったかのように復活しています。

ユウ
ユウ

ただし、不老不死であっても痛みは感じるようです

死にたくても、死ねない。

自分の意志とは関係なく、半永久的に生き続けないといけない。

これこそがアーデンというキャラクターの苦悩です。

歴代のFFシリーズでは不老不死(あるいは永遠に何らかの行為を続けたい)を求めた悪役が複数います。

(※例えば、FF5のエクスデス、FF8のアルティミシア、FF10のエボン=ジュなど)

しかし、アーデンの場合は全く逆です。

アーデン不老不死になったのはアーデン本人の意志に反するものですし、そもそもアーデンは不老不死の身体を呪っている節すらあります。

実際、FF15の小説版『The Dawn Of The Future』では、神影島に幽閉されていたアーデンが自身の死を願っていた描写もあります。

その場面におけるアーデンの独白がこちらです。


長い、長すぎる。

誰か、殺してくれ。

もう、たくさんだ。

死にたい。

消えたい。

何も考えたくない。

誰でもいい。

俺を消してくれ。

できることなら、この世界もろとも消してくれ。

もう疲れた…。

引用:『The Dawn Of The Future』33ページより一部抜粋


いかがでしょうか?

死にたくても死ねない苦悩を抱えたまま、約2000年もの時間を磔にさたれたまま過ごしたアーデン。

その絶望や怨念たるや、半端じゃありません。

神影島での幽閉中は、ルシス王家への憎悪よりも、自分が死ねないことへの苦痛や絶望の方が強かったようです。

こういった自死の願望を持っている点も、アーデンという悪役を語る上では見逃せないポイントです。

実弟である『ソムヌス・ルシス・チェラム』との因縁

アーデンというキャラクターを語る上で重要となるのが、実弟であるソムヌスの存在です。

何しろ、このソムヌスこそがアーデンを神影島に幽閉した張本人ですからね。

2000年前、アーデンとソムヌスはチェラム家の領主兄弟として人望を集めていました。

(※この辺りの描写は、アニメや小説によって初めて全容が分かるようになっている。)

さて、アーデンとソムヌスは幼少期こそ仲が良い兄弟でしたが、次第にシガイへの対処方法を巡って対立するようになっていきます。

シガイ化は病なのだから、シガイ化した者を治療するべきと主張したアーデン。

シガイから民を守るため、シガイ化した者を抹殺するべきと主張したソムヌス。

どちらの言い分が正しいかはともかく、アーデンとソムヌスには1つ決定的な違いがありました。

アーデンにはシガイ吸収能力があり、ソムヌスにはその能力が無かったのです。

つまり、シガイ化した民からシガイを吸収し、治療することが出来るのはアーデン唯一人だったのです。

そう考えると、シガイ化した民を治療するべきという主張は、アーデンだからこそ可能とも言えます。

その一方で、シガイ吸収能力を持たないソムヌスは現実的な手段で民を統べようとします。

まさに持つ者持たざる者との対立です。

あるいは理想主義者現実主義者との対立とも言えます。

ユウ
ユウ

これこそ、まさにFFらしい人間ドラマです!

さて、アーデンの理想主義に嫌気が差したソムヌスは、アーデンを排斥して自分が王となることを画策します。

その結果、アーデンの恋人であるエイラは死亡し、アーデンは公衆の前で化け物(シガイ)認定されます。

(※エピソード:アーデンのアニメは、FF15の公式サイトや、ファミ通.COMなどで見れます!)


アニメ版にて、エイラを失った衝撃で本格的にシガイ化してしまうアーデン。

しかも、ソムヌスからメッタ斬りされる惨い仕打ち…。


極めつけに、シガイを吸収し過ぎた影響により、アーデンはクリスタルから『不浄の存在』として拒絶されるという始末。

(※このとき、アーデンの魂が『対をなす世界』に囚われてしまい、不老不死となった。)


もうね、アーデンが不憫過ぎて見てられません…。

その後、この流れに便乗したソムヌスは王へと即位してルシス王国を興します。

その一方で、アーデンのことはチェラム家のアダギウム(禁忌)として神影島に幽閉します。

ユウ
ユウ

ソムヌスの思想はともかく、その行動は中々のクズっぷりです…

王の座を巡って権謀術数を駆使するソムヌス。

彼は後世の歴史において夜叉王と呼ばれていますが、なるほど確かに夜叉と呼ぶべき気質を持っていることは間違いなさそうです。

仏教において、夜叉は人に“恩恵を与える寛大さ”と“殺害する凶暴さ”を併せ持つとされている。

青年期のソムヌスは、確かに悪どいことをした人物です。

その反面、晩年はアーデンへの仕打ちを悔いていました。


FF15のロイヤルエディションにて追加されたシーンより。ノクティスに敗れたソムヌス(夜叉王)は正気に戻り、兄であるアーデンへの複雑な感情を語る。


アーデンの力によって操られ、ノクティスと戦わされたソムヌス。

ノクティスに敗れた後、彼が語った言葉は『アーデンを倒せ』ではなく『解放してやってくれ』でした。

このことから、アーデンへの嫉妬や憎悪といった感情などは薄れ、純粋に兄の安寧を願っていることが窺えます。

後にDLCや小説版でもソムヌスの心情が補完されていますが、ソムヌスは彼なりにアーデンへの仕打ちを後悔していたんですよね。

本当に後悔していたのたら、ソムヌスの寿命が尽きる前にアーデンを神影島しから解放してやるべきだったのでは?

しかし、そんなソムヌスの後悔などアーデンには関係ありません。

ソムヌスが簒奪者としてアーデンを陥れたことは事実です。

何よりも、死ねない身体のまま磔にされ、2000年も幽閉されたアーデンにとっては、ソムヌスは怨敵以外の何者でもないのです。

(※不老不死となったのはソムヌスのせいではないけど。)

いくら憎んでも、憎み足りない相手。

それがアーデンにとっての実弟ソムヌスなのです。

ユウ
ユウ

自分と血の繋がりがあるからこそ、余計に腹が立つのかも知れませんね…

実際、DLCのエピソード:アーデンでは、アーデンがソムヌスに向かって激怒するシーンがあります。


第一魔法障壁として召喚されたソムヌスに対して、怒りを露にするアーデン。ゲーム本編でもここまでアーデンが怒り狂うシーンは無かった。


ゲーム本編において、ソムヌス本人は既に故人です。

しかし、ソムヌスの血と思想を受け継ぐルシス王家は健在であり、むしろ栄華を極めています。

自分を歴史の闇へと葬り、その土台の築き上げられたルシス王国。

ユウ
ユウ

アーデンからしたら、こんなの面白くないに決まっています…

この不愉快な事実が、アーデンを復讐へと駆り立てていくワケです。

このことから、アーデンが抱える心の闇の深さが窺えます。

あまりにも業が深いチェラム兄弟。

ですが、だからこそアーデンという悪役に魅せることに一役買っている気がします。

余談ですが、IFルートである小説版では、和解とはいかないまでも、アーデンとソムヌスが共闘するシーンがあります。

ゲーム本編とDLC(エピソード:アーデン)をプレイした後だと、このアーデン・ソムヌスの共闘シーンは胸に迫るものがあります。

『王』としてのプライド

ここまで書いてきた通り、2000年前に実弟であるソムヌス・ルシス・チェラムに裏切られ、そのことが切っ掛けでアーデンはルシス王家を憎むようになります。

そんなアーデンですが、ゲーム本編ではあくまでノクティスとの一対一の勝負に拘っています。

アーデンにとって、ノクティスの命を奪おうと思えば、それを実行するチャンスは幾らでもあった。

むしろ、ノクティスが真の王として覚醒すれば、アーデン自身も無事で済む保証はない。

…にも関わらず、アーデンはノクティスの覚醒を促します。

つまり、アーデンにとっての復讐とは、単にノクティス(ルシス王家)を殺害することではなく、真の王と正面から戦って倒すことなのです。

ユウ
ユウ

アーデンの行動は一見すると矛盾しているように見えますが、実はちゃんとした理由があるのです!

13章にてノクティスを真の王として覚醒させるため、クリスタルの元へとノクティスを導いたアーデン。

そして、14章での最終決戦にてアーデンはノクティスと正々堂々の一騎打ちを行っています。


これは王の戦いだ』と言い切るアーデン。実はとても深い台詞だと思う。


この辺りの描写から、アーデン独自の『王』としてのプライドが窺えます。

真の王として覚醒したノクティスと自分の力によって戦い、そして勝つことにこそ意義を見出しているアーデン。

アーデンの悪役としての魅力とは、こういった部分にもあると思うんですよね。

王としての自負。

あるいは戦士としての矜持。

このように、誇り高い一面を持っているのがアーデンという人物です。

ユウ
ユウ

もしアーデンがただの小悪党なら、1対1という戦い方はしなかったはずです!

ノクティスとは違う立場から、2000年に渡る自身の因縁との決着を付けようとするアーデン。

復讐の鬼でありながら、一騎打ちという戦い方に拘るアーデンは、悪役ながら良い味を出している思うワケです。

ゲーム内では剣神バハムートから偽りの王と呼ばれたり、ノクティスとの戦闘中には自分は弾かれた王だと自嘲するアーデン。

このことから、アーデン自身は歪みながらも王であることに執着している様子が見え隠れします。

最終決戦時のアーデンはむしろシガイの王とでも呼ぶべき立場になっているため、ノクティスとの対比も際立ちます。

ユウ
ユウ

僕はFF15を初プレイしたとき、王vs王の最終決戦にはメチャクチャ燃えましたからね!


互いにファントムソードを召喚して戦うノクティスとアーデンは激熱だった!!


武器召喚の能力によってファントムソードを操り、ノクティスに応戦するアーデン。

やはりアーデンもルシス王家に連なる者なのだと、否が応でも実感させられるシーンです。

もしアーデン単なる復讐人間であれば、最終決戦でここまで燃える展開にはならなかったでしょう。

ユウ
ユウ

アーデン戦のBGMが神曲ということもあり、まさに因縁の対決を熱く演出してくれます!

やはり良い悪役がいてこそ、主人公の存在が際立つというのは間違いないですね!

アーデンは不老不死から解放を望んでいた?

ノクティスと最終決戦で敗れた後、アーデンはどこか満足そうな表情をしています。

FF15をクリア済みの人は知っての通り、この後ノクティスはイオスからシガイを一掃(浄化)するために歴代王を召喚し、そして死亡します。

つまり、その時点でルシス王家の血は絶え、アーデンの復讐は完遂されるワケです。

そのことを知っているからこそ、アーデンは満足そうに息を引き取ったのではないでしょうか。

ノクティスに敗れ、アーデンが消えていくシーンのやり取りがこちらです。


アーデン『終わったね 王様』
アーデン『シガイを排除して 平和な世界を作るのか?』
アーデン『俺をまた歴史から消し去って…』
ノクティス『でも、今度は眠れるだろ?目を閉じろ。もう目は覚まさねーよ。』
アーデン『先に行って待ってるよ…』

先に行って(逝って)待ってるよと言い残して目を閉じるアーデン。

自分の力がノクティス(真の王)に及ばなかったこと自体は悔しいでしょう。

ですが、当初の目的である復讐という点に限れば、これでめでたく達成です。

このシーンについて、少しばかり筆者なりの考察を述べたいと思います。

アーデンは心の片隅にある死にたいという願望が実現できて、実は嬉しかったのではないでしょうか?

もしアーデンがノクティス(真の王)を倒してしまったら、未来永劫、アーデンを倒せるような相手は出てこないでしょう。

それは即ち、今後もアーデンは死ねないまま生き続けることを意味しています。

繰り返しになりますが、アーデンは不老不死である自分の身体を呪っています。

死にたくても死ねないまま約2000年を生きたアーデンにとって、これ以上の生きるのは苦行以外の何者でもないはずです。

だからこそ、アーデンは自分を殺してくれる相手(真の王)を待ち望んでいたのではないでしょうか?

実際、DLCのエピソード:アーデンでも、アーデンが不老不死のまま生き続けることにについて剣神バハムートによる言及があります。


遠回しに『不死のままでも良いのか?』と脅されるアーデン。


FF15の発売当初、

アーデンは復讐よりも不老不死から解放を望んでいたのは?

…といった説がネット上で飛び交っていました。

ユウ
ユウ

一部の界隈ではアーデンによる“壮大な自殺計画”と囁かれていたほどです!

この説について、筆者は個人的に賛成です。

アーデンにとって、復讐は最優先事項であったのは事実でしょうけど、その一方で自分が死ぬことも望んでいたのではないでしょうか?

死ぬことへの願望について、アーデンがどの程度自覚していたかは不明です。

ですが、最期の安らかそうな表情を見る限り、あながち可能性がゼロとも思えません。

全力でノクティス(真の王)と戦い、そして敗れることで、ようやく不老不死の呪縛から解放されたアーデン。

歴代のFFシリーズのラスボスと比べると、とても地味かつ静かな退場ですが、これはこれで味があります。

さらにその後、エンディングにて対をなす世界へと来たノクティスにアーデンが一礼するシーンもありますが、これも地味に深いシーンに思えます。


『対をなす世界』にある俺の魂を滅ぼすために来たんだね?

それじゃあ、最期の仕上げを始めようか。


アーデン的には、こんな感じのことを考えていたのかなぁ…なんて想像してしまいます。

こんな風に、もう完全にアーデンに感情移入してしまっている自分がいます。

賛否両論なFF15のエンディングですが、このアーデンという悪役の存在によって、個人的にはとても深みのあるエンディングに仕上がっていると思うワケです。

まとめ:アーデンはFF史上トップクラスの魅力的な悪役!

FFシリーズの悪役には魅力的なキャラクターが多いですよね。

筆者はFF6のケフカ、FF7のセフィロス、FF9のクジャ、FF12のヴェインなどが好きでしたが、FF15のアーデンもメチャクチャ魅力的な悪役だと思っています!

やはりFFは良い悪役がいてこそ盛り上がりますからね。

2000年分の憎悪と絶望を糧にしてノクティス(主人公)と敵対するとか、まさにファイナルファンタジーらしい悪役って感じです。

とにかく、ノクティスとは色々な意味で対照的にデザインされているのが、アーデンというキャラクターです。

弾かれた王としてクリスタルに選ばれなかったアーデン。

対照的に、真の王としてクリスタルに選ばれたノクティス。

死にたくても死ねないアーデン。

対照的に、生きたくても生きられないノクティス。

(※イオスからシガイ(星の病)を一掃するため、ノクティスは自分の命を犠牲にするしかなかった。)

ユウ
ユウ

こうして見るとアーデンとノクティスは正反対の立場ですね

繰り返しになりますが、まさにFFらしい人間ドラマです!

見た目も決してイケメンとかではなく、中年のオッサン風なアーデン。

ですが、そんなオッサンだからこそカッコよく見えるシーンも沢山あります。

まさに、噛めば噛むほど味が出るというか、プレイする度に色々な見方が出来るというか、とにかく色々な解釈をさせてくれる良い悪役です!

ユウ
ユウ

こんな具合にアーデンの記事を書いていたら、またFF15をプレイしたくなってきました!

…というワケで、この辺りで失礼します!

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

コメント

  1. 昔からのファン より:

    過去記事に失礼いたします。
    正直ロイヤルエディションと小説の内容をゲーム化して一つのFF15にしたら
    シリーズ中、最高傑作になったのではないでしょうか。
    あと、王の剣はエクスカリバーにすべきなのと、最終的に空飛べるようになった車が
    全くストーリーに生かされなかったのが不満と言えます。

    FF10も当初はネガティブな印象でしたが、ストーリーを進めるにつれて
    古き良きファイナルファンタジーとなり続編を完全クリアしてスッキリした気持ちになりました。

    それだけに15は「色々あって」購入には踏み切れませんでした。
    ストーリー含めて拘るべき所を拘らずに、どうでもいい部分ばかりダラダラ増やし過ぎた
    マーケティングの訴求要素が、あまりにも内部の自己満足で、この段階で購買意欲を無くした、
    それが本作が敬遠される原因と言え、初回盤が福袋のレギュラー化した結果と言えます。
    エアプと言われても購買意欲をそそられなければ買わないのは
    購買行動の意思形成の過程として当たり前の話です、こりゃ無理だと。
    きちんと作れば名作たり得たのに、と。
    外から見れば一部の病んじゃった人たち向け、と言われても仕方が無いと思いました。

    つまり一番の元凶は内輪のマスターベーションに酔ったディレクターと、
    お門違いの業界から来て、現場を知らず小手先のリストラしか能の無い経営者だったのです。

    • ユウ ユウ より:

      昔からのファンさん

      コメントありがとうございます!
      僕は2016年11月にFF15が発売したのと同時にプレイしたのですが、少なくとも発売当初は残念な出来のゲームだったと言う他ないです。

      ストーリー展開が滅茶苦茶で、そもそもファントムソードを13本集めるという当初の目的さえも有耶無耶になってしまい、マジで意味不明でした。
      一応、4章のタイタン戦くらいまでは超ワクワクしながらプレイしていたのですが、それ以降がお粗末すぎました。

      発売当初からロイヤルエディション版や小説版の要素が盛り込まれていたら、神ゲーとなるだけのポテンシャルは間違いなくあったと思います。
      惜しむらくは、そのポテンシャルを活かしきれなかった開発陣であると思うばかりです。

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